不安定雇用のろうあ者が 手話通訳者は安定雇用を要求
京都において手話通訳者の自治体への配置問題について、手話通訳者はもちろんろうあ者から手話通訳者の身分保障の確立が強く要請された。
当時のろうあ者の雇用関係はすでに述べてきたように不安定雇用が多くあったが、それだからこそ手話通訳者は安定雇用でないと「腰を落ち着けた手話通訳」ができないのではないか、と多くのろうあ者は理解した。
人間的暖かみに包まれて 手話通訳者の身分保障を要求
地方自治体だからこそ、ろうあ者に自己負担を強いることなく手話通訳者を正規雇用して手話通訳者の身分保障を確保するとともにその規範を他に示すべきであるとする意見であった。
それは、「地方自治体の主人公はそこに住む住民である。」ことへの第一歩である、とするろうあ者の力強い決意でもあった。
今日、考えてもろうあ者の人々のこころからの思いやりと手話通訳者と一体となっ考えに感動と感激を消すことは出来ない。
やさしさという言葉よりも、人間的暖かみに包まれていた思いもする。
包括、インクルージョンという言い方が、横行している今日だが、そんなことをはるかに超越したことが、40年以上も前に実践されていたのである。
これらの考えを消してはならない。
なぜなら人間の灯火だから。
ろうあ者と連帯した手話通訳者との学習の積み重ね
京都では、手話通訳者の生活は公的に保障すべきであり、そのために地方自治体も存在するとするのはろうあ者も手話通訳者も一致した意見に到達していた。
しかし、ここまで到達するためには、ろうあ者と連帯した手話通訳者との学習の積み重ねがあったし、前述した京都府がろうあ者成人講座をはじめあらゆる機会を通じて、学ぶことと学び合いが保障していった結果でもあった。
これらの考えが、京都の手話通訳保障の基礎に存在していたからこそ、手話通訳の公的保障ということがろうあ者と手話通訳者との間で一致したとも言える。