手話と手話通訳を考えるために 1970年2月1日 社団法人京都ろうあ協会発行資料より ( 1 )
ろうあ者の基本的な要求
我々ろうあ者の基本的な要求は憲法に保障された健康て文化的な経済的にも恵まれた豊かな生活を打ち立てることです。そのためには次のような政策の実現を要求します。
1、職業選択の自由保障
イ 最低賃金制の確立、働く者に必要な賃金を保障する。
ロ ろうあ者の職域開発とその能力の発揮に力をそそぐ。
ハ 職場におげる差別をなくし、労働条件の改善をはかる。
二 官公庁が卒先してろうあ者を採用し、企業への門戸を開く。
ホ 定年制をなくし、老人を街頭にほおり出さない。
2、教育の保障
イ 科学的ろう教育を確立する。
ロ 教師の身分を保障し、必要な人員を確保する。
ハ 教師の質的向上に力をつくす。専門教育の実施。
二 ろう教育の実態に合致する完全義務教育の実施。
ホ 成人教育の質的向上と普及につとめる。
3,コミユニケーシヨンの保障
イ 手話通訳を養成し、必要な公的機関に配置する。
ロ テレビに字幕をつけるなど、マスコミについてもろうあ者に配慮する。
ハ 補聴器の改善及び普及に努力する。
ニ ビデオコーダーなど聴力障害者に役立つ新機械の開発。
ホ ろうあ者問題についても社会に啓発し、我々か話し合いに困らないあたたかい社会を作る。
4、参政権の保障
イ 立会演説会に手話通訳をおく。その他についてろうあ者か不利な扱いをうけることのないよう配慮する。
ロ 議会に手話通訳を配し、必要な時はいつでも傍聴できるようにする。
5、公正裁判の保障
イ ろうあ者か裁判をうける場合、不利な扱いをうけることのないようにする。
ロ いつでも傍聴できるよう手話通訳を配置する。
6、医療の保障
イ 保険制度の完備・いろいろな制限を設けない。
ロ 聴力障害者の医療を発展させる。
7,住宅の保障
イ 公営住宅を大量に建設し、誰もが快適住宅に住めるようにする。
ロ 公害をなくし、住宅の環境を整備する。
8、老後の保障
イ ろうあ者の入れる老人ホームの建設。
ロ 老人ホームの内容を豊かによりあたたかく。
ハ 老後の生活を保障する。
9、文化活動を発展させより豊かな生活のための保障
イ スボーツ活動、文化活動の場所を作り活動を補助し、その発展をはかる。
ロ サークル活動の発展に力をつくす。
ハ 図書館を作り・きめ細かく、図書晋及活動を行なう。
ニ 交通戦争をなくし、運転免許を与える。
10、生活の保障
イ 日常生活についていつでも相談ができて実際的な援助を受けることのできる施設をもうける。
ロ 職業訓練をうけることの出来る施設をもうけ、その訓練期間中の生活の保障を行なう。
ハ 働くことのできない、又社会生活にいちじるしく困難をきたしているろうあ者に対し、その生活保障を行ない、又、生活訓錬の実施できる施設をもうける。
二 有給休暇をもつと多く生活にゆとりとうるおいを与えるようにする。
11、以上の政策を実現させるために、戦争をなくし、平和を守り、軍備に金を使わないようにする。
そして無用の人命の損失のないようにする。