手話 と 手話通訳

京都の手話通訳者の取り組みと研究の中からの伝承と教訓をみなさまに提起します。戦前戦後の苦しい時代を生き抜いたろうあ者の人々から学んだことを決して忘れることはなく。

地方自治体がもっとすぐれた形で 手話通訳 事業が進んでいるのに 国会史上初めて 手話 による質問

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(国会議事録 資料と解説)
 第084回国会 予算委員会第四分科会 第3号1978(昭和53)年3月31日(金曜日) 議事録より引用&解説 ろうあ者福祉、手話、手話通訳などなどのことが日本の地方議会で初めて取り上げられたのが福島。福島のろうあ協会や手話通訳者が国会議員と話し合い、いろいろなところに案内して国の福祉の改善に迫ったことはあまり知られていない。1978年予算委委員会の議事録を入手するのに苦労をしたが、今は容易に入手できる。この議事録の内容を解説と共にみなさんと共に考えて行きたい。佐瀬駿介

 

 1978年において国・厚生省の内部では「自立、自助が社会福祉の基本」として「手話奉仕」や 「身体障害者地域福祉活動促進事業のいろんな態様の体の不自由な人々について、自治体が自分の地域ではこういうのが一番妥当であると考えたものについて、メニュー方式」というものを打ち出してくる。

 

 ここには、憲法にある「第二十五条  すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。2  国は、すべての生活部面について、社会福祉社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」の国はすべての生活部面について、社会福祉社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に
努めなければならないを自助=自分で自分の身を助けること。他人に依頼せず、自分の力で自分の向上・発展を遂げる、という方向に大きく舵を取っていることが解る。

  「メニュー方式」なども建前はいいことをいいながら下田議員が指摘したように予算を増やさず、メニューはどんどん増やしていた。

 

 このメニューの限られた予算の中で自治体が実施使用としても最初から出来なくさせられていて「自治体と身体障害者の対立」や「障害者同士の対立」を引き起こさせ、国・厚生省としては「高みの見物」をするという問題だらけの内容であった。

 

 だが、その事業を受けてしまうと「国は、すべての生活部面について、社会福祉社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」という事業の責任追求や改善を迫れないという単純でありながらも虚像の複雑な事業形態がつくられていこうとしていたことが読み取れる。

 

 しかも厚生大臣と官僚の答弁の差違には、官僚主導の福祉、社会保障制度の改悪の意図が読み取れる。

 その基本的改正を下田議員は指摘し、あるべき方向を示す。

 

    公的機関等に出かけて用事を果たすような場合にお手伝いさせようということ

 

○政府委員(上村一君) いまお話しになりました中で、福島県の例は若干つかんでおるわけでございます。

 

 それ以外のものにつきましては、自治体自身が常勤の職員として、つまり地方公務員として置かれておる者につきまして何人おるかにつきましてはつまびらかでございません。

 

○下田京子君 そうしますと、地方自治体の公務員という形で、またそれに準ずるものだということでやられているから、それぞれの仕事の領域なのでつかんでないというお話かと思うのですけれども、となりますと、最初国で話された身体障害者地域福祉活動促進事業の中での、特に聴覚障害者のために設けられている四事業、この四事業を設置している目的というのは何でございましょう。

 

○政府委員(上村一君) 非常に端的に申し上げますと、先ほどからお話出ておりますように、聾唖者の社会生活で手話が非常に大切であるというふうな認識に立つわけでございます。

 

  そこで、四十五年から始めました手話奉仕員の養成というのは、そういった人々というのを自治体の方で養成をすると、そういった仕事を進めようと。

 

  それから、五十一年から始めました手話奉仕員の派遣事業というのは、そういった養成事業で手話法を習得した人を登録しておいて、聴覚に障害のある人、あるいは音声なり言語に障害がある人が公的機関等に出かけて用事を果たすような場合にお手伝いさせようということであるわけでございます。

 

   自治体が一番妥当であると考えた
     メニュー方式の補助金

 

  それから、最後に手話通訳の設置事業になるわけでございますけれども、手話通訳設置事業の場合は、これは四十八年度からでございますが、月に二回以上県なり市で来ていただいて、これはボランティアでございますが、そういった聴覚障害者が県なり市で援護を受けに来た場合にいろいろお手伝いをさせようと、こういった趣旨のものでございまして、身体障害者地域福祉活動促進事業というのは、こういった聾唖者だけでなくって、いろんな態様の体の不自由な人々について、それぞれの自治体が自分の地域ではこういうのが一番妥当であるというふうなことを考えたものについて、メニュー方式でやれるようなタイプの補助金であるわけでございます。

 

 そうして手話の奉仕員の養成事業と申しますのは、現在、これ五十一年度の数字でございますけれども、一つの県を除きまして、すべての県で実施しておるわけでございます。

 

  それから、手話奉仕員の派遣事業の方は全県というわけじゃございませんで、約半数くらいの県でやっておる。

 

 それぞれの自治体の地域の事情に応じた選択によってこの補助金を使ってもらっておる、こういう性格のものでございます。

 

  地方自治体が

もっとすぐれた形で事業として進んでいる

 

○下田京子君 どうしてできたかということはわかりましたが、そうやってつくったものが、設置したということが、同じ厚生省の系列で、地方自治体の方がいろいろもっとすぐれた形で事業として進んでいるわけですよね。

 

 すなわち、手話通訳者設置事業という厚生省の考え方ですと、週一回だとか、あるいは一回につき二時間だとかいうふうな形での援助というふうなお考えだけれども、それがさらに進んで常時嘱託という形でさっき話しましたようにやられているわけですね。

 

 しかも、国が言わんとしております奉仕員といいますか、ボランティア活動、それから同時に制度としての手話通訳者の方向ということも含めて、東京都なんかになりますと、これは全日本聾唖連盟で出されている資料でございますけれども、ここにはこういうふうに書いてあるわけですね。「例えば、東京都は昭和五十二年度に手話奉仕員養成事業に約三百六十万円の予算を計上して年間に約二百人のボランティアと五人前後の通訳者を誕生させています。」、こういうふうになっているわけです。

 

 こういう実態、御存じないんでしょうか。

 

   地方公務員として

手話の通訳員を置くかどうかは
     それぞれの自治体の判断

 

○政府委員(上村一君) そういう実態は承知いたしております。

 

 ただ、いまお話しになりました中で専任の、つまり地方公務員として手話の通訳員を置くかどうかというのは、それぞれの自治体が、こういった人たちが公的機関をどの程度利用するがという状況によって判断して置かれておるものであろうというふうに思うわけでございまして、厚生省としては、さっき申し上げました事業のほかに、むしろ福祉事務所とかあるいは身体障害者の更生相談所の職員、こういうところにいわゆる聾唖の方が行かれることが多いわけでございますから、むしろその職員を対象にしまして、つまり現におる職員というのが手話ができるように講習会など実施しておるわけでございます。

 

    政府がいろんな対応する機関に

手話通訳を設置できることが望ましい

そういう方向でいろいろと援助して

         いくことが望ましい

 

○下田京子君 端的に伺いますけれども、厚生省としまして東京都のような例は知っているけれども福島の例はちょっと聞き及んだ程度で、全国的には自治体の具体的な自主的な事業だから余り知らないというふうなお話ですが、どうでしょう、今後そういう形で自治体が常時正職員あるいは常勤嘱託という形でもって手話やれる方がそれぞれの医療機関であるだとか自治体の窓口であるだとか、そういう主な政府、いろんな対応する機関に設置できるというふうなことが望ましいし、そういう方向でいろいろと援助していこうという方針はお持ちなんだと思うんですけれども、その点どうですか。

 

○政府委員(上村一君) こういった公の施設あるいは公のサービスの機関で働く人に手話ができる人が置かれることが望ましいことは言うまでもないことであろうと思うわけでございます。

 

 したがいまして、こういった事業について補助をしておるわけでございますけれども、それが専任の地方公務員として置かれるようになった場合には、そういった自治体の公務員の給与まで果たして国が補助するのが妥当かどうか、その点は研究の余地がある問題ではなかろうかというふうに思うわけでございます。