手話 と 手話通訳

手話通訳の取り組みと研究からの伝承と教訓を提起。苦しい時代を生き抜いたろうあ者の人々から学んだことを忘れることなく。みなさんの投稿をぜひお寄せください。みなさんのご意見と投稿で『手話と手話通訳』がつくられてきています。過去と現在を考え、未来をともに語り合いましょう。 Let's talk together.

 滋賀県の手話通訳者 の労災認定をしないのはなぜか   国会史上初めて手話通訳者の職業病・労働災害がとりあげられてれた

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(国会議事録 資料と解説) 第118回国会 地方行政委員会 第4号1990( 平成二年)六月一日(金曜日)議事録より解説 手話通訳者の職業病及び労働災害認定について国会史上初めて全面的に取り上げられた。この時の議事録の内容を解説と共にみなさんと共に考えて行きたい。佐瀬駿介

 

   足先からも、指先からも
 口までも全部しびれて
 だんだんひどくなってきて
  立てないとか、いろいろ
 

 大村洋子という人が、大津の労働基準監督署に、手話通訳による頸肩腕障害を公傷として認めるように申し立てしています。

 

 この人は、昭和五十七年からずっと今日まで、主として手話通訳をしてきた人です。

 

 職場は、滋賀県庁の障害福祉課に嘱託として雇われたこともあります。

 

 社団法人滋賀県身体障害者福祉協会に勤務したこともあります。

 

 大津市役所にアルバイトとして勤務したこともあります。

 

 そして、昭和六十二年四月から社団法人滋賀県ろうあ協会に勤務しています。
 
 この人は、次のような症状を訴えています。

 

 これは座談会での発言ですけれども。

 

 「読みとりをやっても、足先からも、指先からも、口までも全部しびれてきました。それからだんだんひどくなってきて、講座の最中にも全然腕が動かないとか、立てないとか、いろいろつづきました。」。

 

   後頭部、頸部、肩甲帯
 上腕、前腕、手及び指の全体
 コリ、シビレ、イタミなど相当強度
 同部位に筋硬結、圧痛、放散痛を認める

 

 さらに、一昨年の八月九日に病院に行って、頸肩腕障害の診断がおりておりますけれども、「そのころ、指は全部グウになって開かない。自分で助けてやらないと指が開かない。腕が自力であげられない。読みとりをしている最中に指先、手足両方ともしびれてきた。しびれがだんだん上ってきて、口にくる。ロレツが廻らなくなる。」、こういう症状を自分で訴えておられます。

 

  これには滋賀県膳所診療所の今村医師の診断書がついています。

 

 さらに、非常に詳細な意見書も添付されております。

 

 これは両方とも大津労働基準監督署に出されています。

 

 病気としてはどういう症状が述べられているかというと、「本例は、後頭部、頸部、肩甲帯、上腕、前腕、手及び指の全体にわたり、コリ、シビレ、イタミなど相当強度に訴え、また、同部位に筋硬結、圧痛、放散痛を認めることにより、頸肩腕障害と診断できる。」。

 

 病名は頸肩腕障害だと。
 

   労働基準監督署

  今なお労災認定をしていない

 

 そこで、この病気と業務との因果関係はどうなっているかという問題について、「自覚症状及び他覚所見は、上肢帯筋群の継続的な疲労状態の存在を示しており、手話通訳業務による正確で定型的な反復動作、とりわけ間違いを許さない通訳業務という精神的緊張状態、且つ胸を張り肘を中空に保持した状態での上肢反復動作が、頸肩腕部諸筋の筋疲労の蓄積を招いたものと判断される。」。

 

「本件の業務起因性は業務経過からみても明らかである。」。

 

「既往歴……本件症状とは何の関係もない。」。

 

 これは診断書及び医師の意見書のほんの一部ですけれども、こういう診断が行われ、本人がこういう症状を訴えている。

 

 しかも、本人のお母さんからも、本人の勤務状態について文書が出されている。

 

  ところが、労働基準監督署は、今なお認定をしていないということで、地元では大変怒っていました。