(国会議事録 資料と解説) 第118回国会 地方行政委員会 第4号1990( 平成二年)六月一日(金曜日)議事録より解説 手話通訳者の職業病及び労働災害認定について国会史上初めて全面的に取り上げられた。この時の議事録の内容を解説と共にみなさんと共に考えて行きたい。佐瀬駿介
専門的に手話通訳者は
頸肩腕障害にならないほうがおかしい
○諫山博君 私は滋賀医大に行きまして垰田先生にお会いしました。
相当長時間手話通訳と頸肩腕障害の関係について聞いたのですけれども、私は手話通訳というのは上肢を動かす大変な仕事だろうということは認識していましたけれども、
一つは口がしびれるというのですね。
それは相手方の口に呼吸を合わせながら手話通訳をやるから口がしびれて動かなくなるというのが私の気づかなかった問題です。
もう一つは、手話通訳をずっとやっていますと、例えばテープレコーダーで日本語を聞くと通訳をしていないでも通訳をしている場合と同じような作用が起きて、垰田先生は放電するという言葉を使っていましたけれども、そういう状況になるというのですよ。
ですから、専門的に言えば頸肩腕障害にならない方がおかしいということだそうです。
これは私が勉強してきたばかりの問題です。
手話通訳の
労働時間についても
何らかのマニュアルをつくって
今手話通訳者が強く求められているのは、手話通訳というのを専門的な職業として認知してもらいたい、やはりこれは非常に重要な専門職ですから、そういう立場から身分の保障もしてもらいたいし、労働時間についてもやはり何らかのマニュアルをつくってもらいたいという希望が強く出ております。大臣、いかがでしょう。
政府 当該団体と手話通訳の活躍の場
問題が相当程度左右されてくる
速やかに検討していくべきもの
○政府委員(滝実君) 手話通訳に関する基本的な点につきましては、先ほど大臣から御答弁申し上げたわけでございますけれども、問題は実際のその当該団体における手話通訳の活躍の形態、そういうような点にこの問題は最終的には帰着していくのではなかろうか、こういうふうに思われるわけでございます。
全くのフル活動でこの手話通訳という方々に活躍してもらっている団体もあるでしょうし、それからごく短時間派遣という格好で活躍してもらう場合もあるでしょうし、要するにその当該団体と手話通訳の活躍の場、そういうものとのかかわり合いの問題においてこういう問題が相当程度左右されてくるのではなかろうかという感じがいたします。
それによって当然のことながら勤務の形態も変わってくるという問題があろうかと思います。
ただ、先生のおっしゃるように、この問題は過去にも二、三例公務災害という格好で地方公務員の場合でも審査請求が出た点を私ども承知をしているわけでございますけれども、余り今までこの種の問題が認識されていなかったということもこれあり、おっしゃるように勤務の態様、こういった点についてはやはり速やかに検討していくべきものはあろうかと思います。
新しい職業病は
医学的な学術論文が先にあって
それから事態が進むのじゃない
○諫山博君 こういう新しい職業病というのは、医学的な学術論文が先にあってそれから事態が進むのじゃないのですよ。
新しい職業病が社会に発生をしてそれからさまざまな医学的な研究も行われる。
例えば水俣病の医学的な分析を見ても明らかです。
水俣病でさまざまな被害者が出た、初めのころはなかなかこの原因がつかめなかった、しかし医学的にこれがずっと追跡されていったというのです。
この手話通訳の職業病というのは学術的な論文が余り出ていないのは当たり前だと思うのですよ。
そのはしりをなしているのが滋賀医大だし、それから障害者団体のアンケート調査ですね。
そういうふうに理解してもらいたいと思います。