手話 と 手話通訳

手話通訳の取り組みと研究からの伝承と教訓を提起。苦しい時代を生き抜いたろうあ者の人々から学んだことを忘れることなく。みなさんの投稿をぜひお寄せください。みなさんのご意見と投稿で『手話と手話通訳』がつくられてきています。過去と現在を考え、未来をともに語り合いましょう。 Let's talk together.

手話通訳 職業病が発生しないために 1990年6月1日 国会

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会議事録 資料と解説) 第118回国会 地方行政委員会 第4号1990( 平成二年)六月一日(金曜日)議事録より解説 手話通訳者の職業病及び労働災害認定について国会史上初めて全面的に取り上げられた。この時の議事録の内容を解説と共にみなさんと共に考えて行きたい。佐瀬駿介

 労働条件、労働環境などによる「あの仕事に従事していなかったならば、その労災害は発生しなかったであろう」という労働災害や職業病、そして過労死などを防ぐ=予防する ということは人間が生きていく上で必須条件であるが、残念ながらそのことを軽んじられる傾向がある。
 政府は、労働基準監督署をまるごと「民間委託」にして労働災害補償保険も民間委託しようとする動きがこの国会以降強まる。
 法案を提出としようとしていたときに、ILO条約の労働監督に関する条約を日本は批准していたことを全く忘れていて法案提出を取り下げる。しかし、近年ILO条約に触れない部分を民間委託しようとしている。
 手話通訳者の職業病を多くの方々が取り組んでおられる職業病認定の取り組みの相互教訓となることをねがっている。

 

   職業病が

発生しないためにはどうすればいいのか

 

  ○諫山博君

  そこで人事院おられますね。

 

 こういう職業病が発生しないためにはどうすればいいのか。

 

 一つはこういう仕事の時間を制限することだと。

 

 国家公務員に適用される人事院規則では、例えばせん孔、タイプ等の打鍵作業については作業の従事時間が制限されております。

 

 時間を短く節約するために簡単に私が申し上げますと、タイプ等の作業は一日三百分以内だ、連続して行う作業時間は一回につき六十分を超えない、一斉に十分以上十五分以内の打鍵作業に従事しない時間を設ける、こういう打鍵作業についての作業の時間が規制されていると思いますけれども、間違いありませんか。

 

    作業の従事時間それから作業環境等の管理
  という二つの基準が決められている

 

○説明員(中島幸子君) 間違いございません。

 

○諫山博君 これが正式に決まったのは昭和六十二年のようですけれども、その後新しい労災、新しい職業病が社会で問題になり始めて、その都度それに即応した作業時間なり健康診断の規定を決めてきたと思います。

 

 例えばチェーンソーの使用によって白ろう病が発生する、そのためにチェーンソーの使用時間について人事院の規則で規制する、あるいはVDTという新しい作業が始まりまして、これについても勤務時間を規制するということが行われていますけれども、概略説明してください。

 

○説明員(中島幸子君) お答え申し上げます。

 

  まず、チェーンソーの方から申し上げますが、チェーンソーの作業につきましては、

人事院規則一〇―四職員の保健及び安全保持という規則でございますが、その規則で各省庁の長がこれらの継続作業につきまして制限の措置を講じなければならないということを規定しております。

 

 そして、その具体的な基準といたしまして通達を出しておりまして、この総長が定めました通達では、作業の従事時間、それから作業環境等の管理という二つの基準を決めております。

 

  従事時間につきましては、まず、一日の実働作業時間は二時間以内とすること。

 

 二番目に、一週間の作業従事日数は五日以内とすること。

 

 三番目に、一月の作業従事時間数は四十時間以内とすること。

 

 それから四番目に、連続作業時間は一回につき十分を超えないようにし、連続作業日数は三日を超えない日数とすること。

 

 それから五番目に、作業時間の中途に十分以上十五分以内のチェーンソーを使用しない時間を設けること。

 

 六番目に、配置前及び六月につき少なくとも一回特別に健康診断を実施すること。こういうような基準を設けております。

 

○諫山博君 VDTは結構です。

 

○説明員(中島幸子君) はい。

 

  もう一つ、作業環境等につきましても同様に基準がございまして、寒冷等による影響を防止し、局所振動の身体への伝播を軽減するために防寒服とか防振服とかそういうものを着用するというような基準もあわせて設けております。

 

    頸肩腕障害を職業病として認定する
同時に問題が起きないような

    予防措置を講じなければ

 

○諫山博君 労働省に質問します。

 

  キーパンチャーの作業管理について昭和三十九年に同じような指導がされています。

 

 それから、昭和六十年の十二月二十日付でVDT作業のための労働衛生上の指針というのが出て、中身はもう結構ですけれども、労働時間について詳細な規制が行われているということは間違いありませんか。

 

○説明員(松村明仁君) 今委員御指摘のように、労働時間に関する指針を出しまして指導をしておるところでございます。

 

○諫山博君 手話通訳についてこういう作業時間の規制がありますか、労働省

 

○説明員(松村明仁君) 現在のところはございません。

 

○諫山博君 現に大津の労働基準監督署で問題になっている頸肩腕障害を職業病として認定する、これが今一つの緊急な課題ですけれども、同時に、こういう問題が起きないような予防措置を講じなければなりません。

 

 現にキーパンチャーとかVDT作業とか、チェーンソー作業については社会的に問題になって、その都度一定の作業時間の規制が行われたわけです。私が手話通訳者の労働実態を調べてもらいたい、どういう職業病が生じているかも政府として調査してもらいたいと要望したのはこういう対策も講じてもらうためです。

 

 現に障害者団体の調査によりますと、圧倒的な多数が業務起因性のある頸肩腕障害を訴えている。

 

 そして、労働時間についてもほかの職種とほとんど変わらない、むしろ手話通訳ができるということによって長い労働時間を強いられている。

 

 どうしてもこれう行政の力で規制すべきだと思いますけれども、これは大きな方針ですから大臣の方に答弁を求めます。