手話 と 手話通訳

手話通訳の取り組みと研究からの伝承と教訓を提起。苦しい時代を生き抜いたろうあ者の人々から学んだことを忘れることなく。みなさんの投稿をぜひお寄せください。みなさんのご意見と投稿で『手話と手話通訳』がつくられてきています。過去と現在を考え、未来をともに語り合いましょう。 Let's talk together.

歴史 流れ 鎧袖の重なりもダブらせて視覚的イメージで 歴史 流れ 経過 漢字 活字 ひらがな 京都の手話

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手話を知らない人も

              手話を学んでいる人もともに
  {新投稿}ー京都における手話研究1950年代以前の遺産と研究・提議 佐瀬駿介ー

 

歴史。
流れ。
経過。

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  歴史ということばは、明治時代にhistoryの訳語としてつくられた漢字。

 

それまでは、「史」が主に使われた。

 

 このように明治時代に「造語」と言っていいことばが量産された。

 

 ろうあ者はその歴史の意味合である「歴史的探求の積み重ねから得られた知恵」の「積み重ねから」を巧みに表現した。

 

 肩から手までに手のひらを少しずつ凹凸を付けるような動きをして「積み重ね」を表現したが、同時に武士達の鎧袖の重なりもダブらせて視覚的イメージを表した手話。

 

 従って、「流れ」「経過」などでもこの手話が使われた。

 

 積み重なって、流れてきた歴史。そこには、過去の蓄積が形成されている、との想いも籠められているようである。

 

 流れも、手のひらを拡げ腕を上から下へと動かす動きを少し変えることによって、スムーズな流れなのか、瀬を形成しながらの流れなのか、多様に表現される。

 
  漢字。
 活字。

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 次のひらがなの手話と比べてみるとよく解る。

 

 漢字は、手指を曲げて四角い、としてそれを下方に順番に置くしぐさで漢字の手話。

 

  金属の字型の活字をも表現している。

 

  活版印刷の工程で、原稿に従って活字棚から活字を順に拾い、文選箱に納める文選工は、ろうあ者の憧れの仕事であった。

 

 ごく一部であるが、ろうあ者で文選工に就いた人がいた。

 

 漢字は枠の中でひと文字一文字現されるが、ひらがなは一筆で続けて書かれるところから区分されて手話表現されてきたのであろう。

 もっと深い意味があるのかもしてない。

 

ひらがな。

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 漢字に対してひらがなの手話は、手のひらを紙に、人差し指を筆にたとえて、すらすらと書く動きでひらがなの手話としている。

 

 人差し指の動きで、ひらがなが連なって書かれることを現す。

 

 ひらがな、漢字。文字に秘めた多くの意味合いをろうあ者学んできたが所以にその動きのひとつひとつに想いを籠めている。

 

 簡単なようで、なかなか手話として表現出来ないものである。その時代や歴史に思いを馳せて、全身で手話を現す。

 

 これらの手話を体得している人は、現在では少なく、少ないが故に消し去ろうとする動きは、手話の必要性を説きながら、手話そのものを否定することになる。

 

 手話は、それほど多くの意味合いを充分に含むが故に「多様に変幻」できるのである。

 

 ひとつの手話は、ひとつの意味を表現するという単純な論法は、手話の本質的な意味合いばかりか、手話を相互理解の中で育ててきたろうあ者に対する「侮辱」であると言ってもいいだろう。