手話を知らない人も
手話を学んでいる人もともに
{再編集投稿・1969年頃}京都における手話と手話通訳の遺産と研究・提議 佐瀬駿介
釘のとがった先がハリネズミのように外に
京のやっと一人が歩ける路地を歩いた先にロの字型の小さな空間があり、それを取り囲むように小さな平屋の家がひしめき合っている。
Cさんの家も歩いていたら気づかずに通り超してしまう小さな路地をくぐり抜けた先に数件の小さな借家がひしめき合っていた。周辺からは今は消えた西陣織機の音が激しくひしめき合って反響していた。
今は、その西陣の音もほとんど絶えた。
Cさんの家の戸は中から長い釘を打ち付け釘のとがった先がハリネズミのように外に出ていた。そして小さな家の外には、鉄条網がぐるぐる巻き付けてあった。
Cさんの「生きるための防衛」そのように思える光景だった。
Cさんの唯一の友。
愛犬。家の中で大事に大事に育てられいえう様子も解ったが、愛犬は始終吠えていた。
「吠えている」「吠えていない」で
Cさんと大矢さんは私にくってかかって
「吠えているいで、」と言ってもCさんも大矢さんも「そんなことはない」「吠えてない」「口を開けてないではないか」と言う。
ところが、愛犬はナゼか、Cさんに尾っぽを向けたときに吠えていることが解った。
「吠えている」「吠えていない」で、Cさんと大矢さんは私にくってかかって来る。
夜勤開けは昼寝なければ
ワンワン吠えられて眠れない
いつ事故起こすかと
ともかく近所の聞こえる人の意見も聞こうと、大矢さんと私は向かいの家と言っても2mも離れていない玄関を訪れた。
出てきた奥さんは、
「ぜひ聞いてほしいんです、主人が二交代のタクシーの運転手。夜勤開けは昼寝なければならないことも多く、ワンワン吠えられて眠れないのでいつ事故起こすかと心配で。」
「夏なんか、窓を閉めると蒸し風呂より暑くたまりません。窓を開けると犬が吠えてうるさくて、」
「パンクさせる、そんなことはしませんよ。とんでもない。」
Cさんの話と全く異なった話。
大矢さんも驚きながらも、それでも、「夜の走行1週間、翌週昼の走行1週間の繰り返しでは、辛いやろうなあ。ねむられんで、」と言う私にうなずきながらも、怒っていた。
それが、その後いくつも爆発する。