手話を知らない人も
手話を学んでいる人もともに
{再編集投稿・1969年頃}京都における手話と手話通訳の遺産と研究・提議 佐瀬駿介
ろうあ者のCさんの話と全く異なった向かいの聞こえる奥さん話。
向かいの家の聞こえる人の話を信じるのは、アンタが聞こえるからだ、という思いが大矢さんに残っていたらしい。
「ワンワン物語り」の頃は電話が鳴り続け
その応対に追われる日々
ろうあ協会名義の電話を引いたとき以降私たちは、さまざまな工夫をした。
「この番号に電話連絡していただけませんか、……」のカードやろうあ者の身近な人に電話番号と協力を依頼していた。
そのため「ワンワン物語り」の頃は電話が鳴り続け、その応対にたった一人で追われる日々だった。
Cさんの家に行って数日後のある日。
Cさんの件で大矢さんに福祉事務所から電話がかかってきた。
その時、大矢さんは他の用事が重なりばたばたしていたが、合図をして福祉事務所からの用件を伝えた。
しかし、大矢さんはなんの対応もなかった。
Cさんの抱える問題は
あくまでも個人的で私的なこと
公的な福祉事務所としては関われない
Cさんの課題を福祉事務所でも取り上げて欲しい、ということはCさん宅から帰る途中に福祉事務所によって障害者福祉の担当者に状況を話してあった。
そのため福祉事務所から電話で「Cさんの抱える問題は、あくまでも個人的で私的なことで公的な福祉事務所としては関われない」という了承を求めたもので数回目も電話があった。
答えは食い違っていたままだった。
大矢さんとしては、福祉事務所もCさんの状況を知ってできる限りのことをしてほしい、と何度も言った。
だが福祉事務所からの返事は、「私的なことで公的な福祉事務所は関われない」という了承の電話の繰り返しだけだった。
つい、いつも繰り返し言い続けた返事、を
大矢さんは、どこかに行っていていないため、福祉事務所からは了承を執拗に求めて繰り返し電話口で言って来ることに対して、私も、他の用事が出来たため、つい、いつも繰り返し言い続けた大矢さんの返事、を電話具で話して電話を切った。
しばらくして、大矢さんがやってきたので、事情を言った、とたん、
君はろうあ者の気持ちを知らなさすぎる
「君はろうあ者の気持ちを知らなさすぎる。ほっとけばいいのや。」
「それなら、それで私に言えばよい。どこかに行って返事をしないからせっつかれるんや。」
二人は顔色を変えて2時間ほど言い合いになった。
2時間も言い合いをすると毎日の多忙も重なって二人とも疲れ果てしまった。