手話を知らない人も
手話を学んでいる人もともに
{再編集投稿・1969年頃}京都における手話と手話通訳の遺産と研究・提議 佐瀬駿介
「全然、知らなかった。」
「でも、聞こえなくて寂しい思いをしていたとき、聞こえない人と出会えてうれしかった。」
と言った。
Iさんは奥さんと出会うために
1年以上も探し回って
1年以上経って出会ってから、Iさんは奥さんの住む岩滝町に通いづめ。
雨が降ろうと暑かろうと。
大雪が降ろうと全然気にせず通い詰めたとのこと。
私は丹後小町で有名
え、タンゴコマチ?
「私は、丹後小町で有名だったから、」
と奥さん。
「え、タンゴコマチ?」
と言うと奥さんは、奥から写真アルバムを持ち出してきた。
戦前の写真だが色あせしていなかった。
正直見て、びっくり、どんな女優よりも美人だ、と言うほどの美人。
ついつい、
「ウソやろ」
と言ってしまった。
真顔で「ホント」「ホント」の手話
Iさんは真顔で「ホント」「ホント」の手話を繰り返した。
すると奥さんは、今はこんな姿顔になったけれど、若い頃は妹の友だちが「姉さんの写真をとってこい」と男友だちに脅されて、黙ってアルバムから「私の写真」を剥がしてもっていった。
後で気がついた。
「ほらここにのり付けした写真を剥がした痕があるでしょう」
とアルバムの痕を見せてくれた。
痕は数カ所もあった。
丹後小町やからほれたんじゃない
聞こえないもの同士で
そこで冗談でIさんに
「丹後小町やからほれたんやろ」
と言うと、これまた真顔で
「ちがうちがう、聞こえないもの同士で話したかったんや」
と言い出して、ここから冗談と腹を抱えるいつもの話が連なった。