手話を知らない人も手話を学んでいる人もともに
{再編集投稿・1969年頃}京都における手話と手話通訳の遺産と研究・提議 佐瀬駿介
保険会社の営業所への電話。
担当者がすっ飛んできた。
保険証書の裏に 保険解約
保険はすでは解約されていること。
そのことが保険証書の裏に書いてあること。
でも、本人はそんなことも知らないし解約された金も受け取っていないではないか、と言うと。
青ざめた顔で、営業所の担当者が帰り、すぐろうあ者夫婦の保険会社の営業担当の女性とその夫が福祉事務所にやってきた。
保険証書を解約を取り消して、引き続き掛け金を受け取っているように新しい証書を持って来ていた。
なかったことにしてもらえないか
手話通訳者さえ知らせなければ
「あの夫婦になかったことにしてもらえないか。」という話をさかんにするだけ。
横領という犯罪を相手が未就学のろうあ者だと知って、手話通訳者を通じてもみ消そうと「強要」に近い言い方。
手話通訳者さえ知らせなければ、未就学のろうあ者は知らないですむ、事が丸く収まる、と言う。
手話通訳者が未就学のろうあ者を「説得」し「納得」させ、なにもなかったことにすればいい。
それが出来るのは、手話通訳者だ。なにも事を荒立てることはないのだ、とも言うのだ。
その手口は許されなかった。
しかも福祉事務所の係長が「(やって来た夫婦の)言う通りやってあげたら」と言う。
保険会社の営業担当の女性の夫の名刺には、市が誘致した大企業の労務管理の肩書きがあったからだ。
怒りがむくむく広がった。
もとに戻すから
犯罪をもみ消してくれ
と頼み込む厚顔さにある人間蔑視
聞こえないし、声を充分発することが出来ないし、書けないし、読めないし、そんな中で必死にお金を貯め込んで、子どもの後のことを考えて生命保険を掛けていた夫婦。
その夫婦の事につけ込んで、だまし取ったお金。それを返し、もとに戻すから、犯罪をもみ消してくれ、と頼み込む厚顔さ。
またそれに応じようとする係長。
福祉はどっちに向いている。