手話 と 手話通訳

京都の手話通訳者の取り組みと研究の中からの伝承と教訓をみなさまに提起します。戦前戦後の苦しい時代を生き抜いたろうあ者の人々から学んだことを決して忘れることはなく。

悩むこころと空に吸はれし15歳 I IOVE コミュニケーション中学生高校生手話テキスト

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 手話を知らない人も

             手話を学んでいる人もともに 

From hand to hand{伝えておきたい手話と手話テキストのことの覚え書き}
 
 友子さんも健一さんも手紙のことで悩み続けます。

 

 二人とも、自分の書いた手紙が自分の気持ちを表したとは考えてはいないようです。

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 手話通訳をされている大先輩に尋ねた時、

 

 学校では問題の解答はひとつしかないと教えられているかもしれないけれど、本当にいつも問題の答えはひとつしかないのかなぁ。と言われ、別れぎわに石川啄木の歌を話されたことを思い出しました。

 

    不来方
  お城の草に寝ころびて
  空に吸はれし十五の心

 

 空に吸はれし十五の心、なんだか解るような気がしましたが、友子さんと健一さんも、空に吸はれし十五の心、だったのではないかと言われたようにも思えましたが。

 

   手紙で返事を書いたことで頭がいっぱい

 

  I IOVE コミュニケーション中学生・高校生のための手話テキストでは、健一さんと友子さんが手紙を交換してから友子さんとろう学校の生徒たちのことが書かれています。


 3月3日、耳の記念日が近づいてきました。

 

 私たちの街でもたくさんの人が集まり、聴覚障害のことについての集会が開かれます。

 

 私たちろう学校の演劇クラブは、毎年この集会で手話劇を発表しています。

 

 今日はクラブがあって、手話劇をどんな内容にするか、話し合うことになっています。

 

 でも、私は健一さんへ手紙で返事を書いたことで頭がいっぱいでした。

 

  健一さんの言っているとおりだよ
    きこえる人とはなかなか通じない

 

 

林部長「友子、元気がないね」

 

友子「なぜ劇をするの?きこえない人は、きこえない人同士で話しているのが、一番いいの?」

 

林部長「どうしてそんなこと言うんだ。誰かに言われたの?」

 

友子「健一さん」

 

林部長「健一さんって……この前、文化祭に来ていた人だろう」

 

ひろし「健一さんの言っているとおりだよ。きこえる人とはなかなか通じないし、話していてもつまらない」

 

  いつもひとりぽっち
 だから学校に来て
  みんなと話するのが一番楽しいわ

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よしえ「きこえる人は、私たちのことをなかなかわかってくれないのね」

 

ひろし「そうだよ、理解してくれない。僕業たちが電車の中やバスの中で手話を使っていると、ジロジロとめずらしそうに見ることもあるし、僕は時どき腹が立つ」

 

よしえ「家では私一人がきこえないから、家族の人たちが楽しそうにしゃべっていても、どんなことをしゃべベっているのかわからないわ。

 いつもひとりぽっち。だから学校に来て、みんなと話するのが一番楽しいわ」

 

  私たちのことを理解して
  くれてる人もいると思うけど

 

じゅん子「でも、健一さんは、友子から手話をおぼえようとしていたし、ろう学校にも来てくれたじゃない。
 きこえる人の中にも、私たちのことを理解してくれてる人もいると思うけど」

 

よしえ「そうよ、私は友子にきこえる友だちができて、うらやましいと思ってい
るのよ」

 

友子「そうかしら……」

 

  今頃になって、この友だち同士の話し合いがとても大切であると思えてきました。

 

 ひとりぼっち、みんな、話をする、このことに理解出来る道があるのではないかと。