⑥ ろうあ者の集団による生活要求の高めあい
各市町在住のろうあ者の手話通訳依頼状況をみると、手話通訳依頼の多いろうあ者、少ないろうあ者、ほとんどないに等しいろうあ者がそれぞれいる。
これは、ろうあ者のそれぞれの生活経験や生活領域の差によっての違いでもある。
しかし、一方ろうあ者相互の生活の見つめあい、高めあい、生活要求の向上を大きな目的の一つとしているろうあ者集団の集団活動としての大切な課題でもあると考えられる。
ろうあ者が集団として、お互いの生活を出し合い、考え合い
生活の向上や要求を高めあう仲間づくりの場
手話通訳は、個々のろうあ者のケースをとおして、その手話通訳要求を高めていける手話通訳活動をめざしていくことと合わせて、ろうあ者が集団として、お互いの生活を出し合い、考え合い、生活の向上や要求を高めあう仲間づくりの場としての成人教育講座の立案、企画をも積極的に仕事として取り組むことが大切である。
これは、手話通訳要求を発展させるというしっかりとした基礎を広げることにつながる。
手話通訳活動は、個人的・恩恵的
または心情的なものであってはならない
⑦ 手話通訳者集団の組織化
手話通訳活動は、個人的・恩恵的または心情的なものであってはならず、きわめて社会的な位置づけのもとでなされなくてはならない。
ろうあ運動がこうしたことをねがっていることからもしても裏切ってはならない。
また、手話やろうあ問題が広く市民に普及しつつある中で、手話通訳活動が広く社会に根ざしていく課題から、手話通訳者の品性、人格をも高めなければならない。
手話通訳者は、この責務を自覚し、積極的に集団として集まる必要があるし、手話通訳者集団に参加していくことが極めて大切である。
京都府下自治体通訳者は、今年の4月から、月1回の集団的研修の場をもち、自覚的に集団として結集している。
今後、この輪をさらに広げていきたいと検討している。
そしてさらに、自治体に働く労働者として、自分たちの専門性を生かし、それぞれの地域で手話通訳者やその活動者の組織化の中心的役割を担い、ろうあ者問題の解決のための行動と協議の場を持つなど、集団研修・理論化をはかっていくことが必要である。