(国会議事録 資料と解説) 第118回国会 地方行政委員会 第4号1990( 平成二年)六月一日(金曜日)議事録より解説 手話通訳者の職業病及び労働災害認定について国会史上初めて全面的に取り上げられた。この時の議事録の内容を解説と共にみなさんと共に考えて行きたい。佐瀬駿介
1981(昭和56年)2月13日国会で「手話通訳者の労働の質、職業病」が指摘されたがそれ以降1983年に札幌で手話通訳者の労働災害が一例認定されて以降労働災害認定されることはなかった。1988年8月滋賀県ろうあ協会専任手話通訳者が頸腕障害と診断されて労災申請をしたが、労働基準監督署は、「頸腕障害」として認定することを排除。あらゆる手段を講じて手話通訳者の 頸腕障害が労災になることを阻もうとしていた。
どれだけの手話通訳者が
地方自治体で働いているか
数字としては把握いたしておりません
○諫山博君 自治省に質問します。
手話通訳者の大部分というのは地方自治体で働いています。
この中には常勤者もいるし、嘱託者もいます。どれだけの手話通訳者が地方自治体で働いているかわかりますか。
○政府委員(滝実君) 私どもそのような調査を今までしたことがございませんので、残念ながら数字としては把握いたしておりません。
○諫山博君 私は、自治省がこの数を把握していないというのは非常に怠慢だと思います。
これは障害者団体がいろいろ苦労しながら調査していますけれども、実例を挙げますと、大阪府下の二十四市で正職員が十四名、嘱託職員が十六名、奉仕員が三百八十二名です。そのほかに、大阪ろうあ会館で大阪府の委託が正職員一名、大阪市の委託で正職員四名、これは地方自治体で働いているんですよ。
京都を調べてみますと、京都府で正職員が一名、京都府下の十二市町では正職員が十三名、嘱託職員が三名、奉仕員が百三十六名。こういう数字は自治省では把握をしていませんか。
○政府委員(滝実君) 私どもとしては特にそういうような数字を把握いたしておりません。
手話通訳者が何名働いているのか
その雇用形態は
○諫山博君 後で触れますけれども、私はこれは非常に遺憾な状態だと用います。
地方自治体で手話通訳者が何名働いているのか、その雇用形態はどうなっているか、こういう問題について自治省が今まで関心を示さなかったということは重大です。
そこで、職業病の問題に入りますけれども、昨年の十一月十三日にNHKのテレビが手話通訳者の職業病という問題を特集しました。
この中で、取材に当たった斉藤記者が次のように語っています。
手話通訳者の勤務を知らないのか
大阪の四条畷市に勤める内野和弘さんは、市役所でただ一人の専任の手話通訳者です。
手話通訳の助けを必要とする耳の不自由な人たちから依頼があれば市内のどこにでも駆けつけます。
依頼の内容も、保健所や学校、それに病院に一緒についていってほしい、あるいは会議や集会で通訳をしてほしいなどさまざまです。
こうした依頼の数は年間八百件前後にも上ります。
市内の耳の不自由な人たちにとって内野さんは最も頼りになる存在です。
そんな内野さんが体の不調を感じ始めたのは四年前からでした。
自治省にお聞きしますけれども、地方自治体で手話通訳者がこういう勤務をしていることは全然知らないんですか。
○政府委員(滝実君) こういう点につきましては、私どもは経験からいっても、あるいは厚生省等からの情報その他によってそういうような勤務状況もあるということは幾分かは承知をいたしております。