手話を知らない人も
手話を学んでいる人もともに
{新投稿}ー京都における手話研究1950年代以前の遺産と研究・提議 佐瀬駿介ー
皮膚は、手の甲をつまんで少し引っ張る手話をしている。皮膚が焼けた、などの場合に使われるが、この一つので「皮膚」を表す手話は、見事としか言いようがない。
近年では、「生理」ということばが使われているが、月経・メンス(英: menstruation, menses のカタカナ表記の省略形)、などといわれていた時代に、「赤」(血の意味もある)と月で月経と手話で表されていた。
月経の周期が、月の周期と重なり合うために表現されている。この手話は、とても大切である。
現在では生理用品が多くあるが、それがなかった時代、女性は今よりもはるかに苦労した。
ろうあ者の女性にとっては、さらに累積する恥ずかしさや困難が多くあったことを思い浮かべてこの手話を、大切にしてほしいものだ。
女中さん。
このような名称は最近の日本では使われなくなっている。
はい・はいと手のひらをあげて手を合わせて、頭を下げる、ことを一つの動作にまとめつつも、目は上目遣い。
金持ちに雇われてある意味24時間働かさせられている女中さんへの思いが込められている。
聞こえない子を産んだとして離縁されたり、子どもをろうあ学校に通わせるため少なくないお母さんが、女中などのさまざまな「下働き」をしていることを充分承知していたからこそろうあ者は、手話でこのように表現したと聞いている。
女性の社会進出が極端に狭められている中で、聞こえないわが子を育てるために働いたお母さん方の気持ちが、この上目遣いに凝縮されている。
そして兄弟。兄・弟は京都の場合は、中指を上下に離して、上の兄・下の弟と年齢で上下に分けた。
(大阪の場合は薬指が多かったと明石欣造さんは言うが、指の動きとしては薬指のほうが動かしやすいという手指の機能にそった無理のない動きであった。もちろん大阪の手話の場合は小指まで曲げて薬指だけにするということはなく、ごく自然体の手指の動きであった。)
姉妹は、両手の小指を上下に動かす。兄弟姉妹は、両手の小指と中指を立てて上下に動かす。
上下に動かすと書いたが、二度三度と繰り返すのではなく、相手に分かれば一度の動きだけだった。