手話を知らない人も
手話を学んでいる人もともに
{新投稿}ー京都における手話研究1950年代以前の遺産と研究・提議 佐瀬駿介ー
うなぎ。
今は高値で、食べられないウナギ。昔は、店先でうなぎを選んでさばいてかば焼きにしてもらったという。
だから、うなぎがえらを膨らませている様子はよく分かった。
手のひらをすこし曲げて、指先を頬につけ上下させる。その時、ホッペタを膨らませたり、すぼませたり、して生きたうなぎを表現する。
手のひらを頬に付ける位置が大切で、それが違うところに付けるとまったく異なった手話になる。
うなぎが、「えら呼吸」している様子そのものを現すからである。
うなぎが生きたままさばかれる、そのことを見ていたのだろう。
昔は、よく店先でうなぎがさばかれていた。
ねずみ。
鼠
手指を口先に持っていき、かじるという表現の手話。
鼠の漢字の意味合いからも表現されている。
やぎ。
山羊
あごひげを表して、やぎ、とする手話 。
これに杖を持つしぐさをすれば、仙人の手話となる。
竹。
京都は伝統産業の仕事に就くろうあ者も多くいた。
その中でも竹は重要な位置を占めた。
竹工などの竹が表現された手話。
細くて、しなやかさを表現する。
何十年、何百年も保存されて茶道具・工芸品となる竹もあるが、そこで働くろうあ者はいつまでも弟子で、独立させてもらえず薄給だった。
タケノコを採る竹は、別の表現がある。
松。
まつば
人差し指と中指を少し頬にあてて松の葉を表す手話。
松の葉を二本(二本でないのもあるが)ほっぺにあてて感触をたしかめた子どもの頃の想い出も込められている。
虎。
虎の動きと恐ろしさをあらわした手話。
京都の寺院の入り口などには、この虎の衝立や襖が描かれているが、多くの場合は前足を一歩踏み出させて描かれ、虎の堂々とした姿で今にも飛びかかろうとする瞬間が描かれている。
虎になった気持ちで表現する手話。
たこ。
たこ踊り
この場合は、「いか」と対照的に、たこの口と全体に足をくねらせて「たこ」の手話としている。
しかし、この「たこ」の表現は、ろうあ者の宴会で競ってたこを表現した、たこ踊り、をイメージいているように思える。
淡路。
地名は、そこに住んでいる人々の表現も、他の地域から見た場合の手話もある。
伊東雋祐氏は、この手話を昔、淡路さんという人がいてと解説している。
しかし、頭部の上を淡路島に見立てて、淡路島の形を表す、淡路結び、淡路髪型、淡路踊り、ひいては明石たこも有名であったが、明石海峡を挟んで淡路島のたこも有名であったことなどなどの意味合いが込められた手話。
京都での表現である。
スイス。
腕時計
スイス兵の帽子の形でスイスの手話。
またスイスと言えば、時計であったため腕に人差し指を丸めに置いて、腕時計=スイスとした。
これらの国名の手話は多種多様である。
イタリア。
伊東雋祐氏は、明石欣造さんから聞いたとして、伊吹さんという人の手話→伊太利亜→「伊」で表現したと記している。
だが、親指を首筋に立てて開いた指を前倒しにするのは、中世によく描かれた肖像画の「ひらひらの襟」でイタリアを表現したとも聞いた。
長靴(イタリアの形)で表現することもあった。
ドイツ。
これはドイツ、ビスマルク時代の兵隊のか兜を表していると多くのろうあ者が言っていたが、頭のてっぺんに尖りでドイツとした。