手話 と 手話通訳

手話通訳の取り組みと研究からの伝承と教訓を提起。苦しい時代を生き抜いたろうあ者の人々から学んだことを忘れることなく。みなさんの投稿をぜひお寄せください。みなさんのご意見と投稿で『手話と手話通訳』がつくられてきています。過去と現在を考え、未来をともに語り合いましょう。 Let's talk together.

文字を通して 手話を通して 筆者のいいたいことの真意を汲み取る 京都の手話

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手話を知らない人も

    手話を学んでいる人もともに
  {新投稿}ー京都における手話研究1950年代以前の遺産と研究・提議 佐瀬駿介ー


「1954年手話冊子」第4章 1-2 文章と手話

            生活を豊かに(人間生活のはじまり)

 

( 原文 ) 

 

 人間が動物学的に、1番近いとされている猿人とさえも、全く違う点は、皆が知っているように、言葉を用いて話をしたり衣服を着たり住居を作ったりする点ですが、更に大きな違いは、住居の中で生活するいう点です。

 

 火を使うようになるとそれまで、なまのままで食べていた食物を煮たりり焼いたりし、火を利用して土器とか金属器とかゆう便利な道具を作り出し、これらを上手に使うことによってそれまでよりもずっと豊かな生活をすることができるようになりました。

 

 これが人間の生活の起こりであり次から次へと工夫改良されていった、いきさつが、人間生活発達の歴史なのです。

 

 それでは人間が初めて作った住居はどのようなものであり、始めて着た衣服はどの様なものであったでしょうか、又その頃の食物はどんなものでだったでしょうか?
                 平沢 訳                                   

 

( 手話 )

 

 人間 動物 違う 動物 中 猿 いちばん 賢い けれど 人間 違う 理由 皆 知っている 何故か

 1つに 人間 言葉 ある 人々 たくさん 話し合う いろいろ 知恵 交換 ある かしこく なる 

 2つに 着物 着る 

3つに もっと 大きな 違い 何か

 家 建てる 家 住む 動物 家 ない 人間 火 大丈夫 魚 焼く 煮る おいしい

 前 ちがう 生ま まづい 焼く 良い 又 土 こねる ごはん食べる入れもの作る

 魚 獲る 道具 作る いろいろ 作る 便利 

 人間 だんだん 生活 幸福 大丈夫 人間 昔から今まで 生活 少しずつ だんだん 変わる 

 

 それ 人間 生活 変遷発達 歴史 言う 人間 着物 どんなか? 昔 人間 たべる 
どんなものか?  想像する 面白い ある


 人間が動物学的に全く違う点を 1,2,3点として表現する手話。

 

 連続して離される場合や文章は、区分したたほうが分かりやすい。文章を追視する能力は、読書量と比例すると言われてきた。

 

 近年の活字離れもあって出版される本は文字が大きくなり、行間や改行が非常に多い。

 

 そのほうが、読みやすいのだが読書家が多かった時代には、1ページの文字数が少ないと「損だ」という気持ちにもなったらしい。

 

 人間と動物の違いを述べる文章では、文章の意図をくんで、手話表現されている。

 

 人間が動物学的に、1番近いとされている猿人とさえも、全く違う点は、皆が知っているように

⇒人間 動物 違う 動物 中 猿 いちばん 賢い けれど 人間 違う 理由 皆 知っている 何故か(=理由・意味・問題を掘り下げるなどの意味を併せ持つ手話)

 

言葉を用いて話をしたり衣服を着たり住居を作ったりする点ですが、更に大きな違いは、住居の中で生活するいう点です。

⇒ 1つに 人間 言葉 ある 人々 たくさん 話し合う いろいろ 知恵 交換 ある かしこく なる 2つに 着物 着る 3つに もっと 大きな 違い 何か 家 建てる 家 住む 動物 家 ない


火を使うようになるとそれまで、なまのままで食べていた食物を煮たりり焼いたりし、火を利用して土器とか金属器とかゆう便利な道具を作り出し、これらを上手に使うことによってそれまでよりもずっと豊かな生活をすることができるようになりました。

⇒ 人間 火 大丈夫(出来るなどの意味を併せ持つ手話) 魚 焼く 煮る おいしい    前 ちがう 生ま(なま) まづい 焼く 良い 又 土 こねる ごはん食べる入れもの作る  (土器・金属器などのという手話はあった) 魚 獲る 道具 作る いろいろ 作る 便利(らく・楽・幸せの意味を併せ持つ手話)  人間 だんだん 生活 幸福(この部分で前後かららく・楽・幸せの意味を併せ持つ手話を判断する。) 大丈夫(出来るの意味を併せ持つ手話) 人間 昔から今まで 生活 少しずつ だんだん 変わる(この部分で、完了表現。)

 

 これが人間の生活の起こりであり次から次へと工夫改良されていった、いきさつが、人間生活発達の歴史なのです。

⇒ それ 人間 生活 変遷(ここで変遷は、どんどん変わるという手話。発達の意味も合わせているが、手話表現で発達とくりかえし併せて発達の既存の手話を表現している。発達の既存の手話とは、手をコの字型に曲げて段を積んでいく手話・又は空文字を併用) 発達 歴史 言う

 

 それでは人間が初めて作った住居はどのようなものであり、始めて着た衣服はどの様なものであったでしょうか、又その頃の食物はどんなものでだったでしょうか?

 ⇒ 人間 着物(着る物の意味も併せ持つ。) どんなか? 昔 人間 たべる どんなものか?  想像する 面白い ある   と興味(手話もあるが)を投げかけて文章の次の展開を「想像」させている。

 

 文字にすると手話の知らない人は、混乱するが、手話を熟知している人ならば、本文を読まなくても、(手話)の部分だけで大半の「意味」が理解出来るはずである。

 

 文章も手話も、文字を通して、手話を通して、筆者のいいたいことの真意を汲み取ることになるからである。

 

 この場合、文章も手話もその「意味」するところを把握できなければ、ただ文字を読むだけ、手話をするだけに留まってしまう。