手話を知らない人も
手話を学んでいる人もともに
{再編集投稿・1969年頃}京都における手話と手話通訳の遺産と研究・提議 佐瀬駿介
E君の加害者は、バイクは無保険。自賠責の保険が有効期間が過ぎても保険料を支払っていなかった。
莫大な入院治療費が
貧困な家庭にのしかかる
E君の貧困な家庭に「莫大な入院の治療費」がかかってきた。
そこでお母さんとどのようにしてこのことを解決するのかという事を話し合ったのだが、事実のとっかかりから暗礁に乗り上げた。
E君の事故の様子や問題の解決のために
1,いつ。
2,どこで。
3,どんな事故がおきたのか。
4,加害者はどんなことを言っていたのか。
5,どんな約束をしたのか。
を聞き出そうとするが、お母さんは、「ええ、あそこの」「いつって」をばかりを繰り替えした。
お母さんは学校に行けず
読み書きはまったく出来ない
「ええっ……」と返事するばかりのお母さんによくよく聞いてみるとお母さんは学校に行けず、読み書きはまったく出来ないと言うことを知った。
学校に行きたかったけれど行かせてもらえないほどの貧困生活の中で生きてきた。
自分の子どもがだれの子ともうまく言えないお母さんは、せめて二人の聞こえない息子をろう学校に入れてやりたいと必死になって生きてきた。
カレンダーも読めない。
いつ、どこでと聞いても答えようがないそんな戸惑いと悲しみが全身から発信されていた。
お母さんが小学校にすら行けなかった
それはお母さんの責任ではないですよ
お母さんは、「字が読めない、書けないので……」とすまなそうに言った。
お母さんが小学校にすら行けなかったのは、お母さんの責任ではないですよ、と言ってもお母さんは謝るばかり。
謝るばかりの人生を過ごしてこられたことが、ありありと解った。
そのため直接、加害者と会って話をするしかなかった。
加害者は何とか補償するのではないか、と思った。