手話 と 手話通訳

手話通訳の取り組みと研究からの伝承と教訓を提起。苦しい時代を生き抜いたろうあ者の人々から学んだことを忘れることなく。みなさんの投稿をぜひお寄せください。みなさんのご意見と投稿で『手話と手話通訳』がつくられてきています。過去と現在を考え、未来をともに語り合いましょう。 Let's talk together.

宇治市手話言語条例 お二人のひがみではないか 差別していない

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手話を知らない人も

      手話を学んでいる人もともに
{再編集投稿・1969年頃}京都における手話と手話通訳の遺産と研究・提議 佐瀬駿介

 

 この山城ろうあ協会の機関紙を手に入れた地元宇治市内の新聞社が次のような記事を掲載した。以下、1968年9月末付けの要旨を掲載する。

 

 福祉事務所を批判 ろうあ協会が機関紙で
女子職員 またきよった と冷たく当たる

 

 最近発行された山城ろうあ協会ニュースに福祉事務所の女子職員が同所を訪れたろうあ協会の代表に「また来たのか」と冷たくあたったとーー市福祉事務所の行政を批判する記事が報道されており、福祉事務所とろうあ協会が対立するような事実があれば行政上まずいとして問題を投げている。

 

差別していない
お二人のひがみではないか

 

 山城ろうあ協会のニュースによると同協会の代表の二人が、去る7月8日午後2時半ごろ、市ろうあ協会に対する市の助成金問題で市福祉事務所を訪れたところ、窓口の女子職員が二人をみつめ、いやな顔つきでとなりの女子職員に「また来よった」とか何とかささやき合い、のろのろと対応に出て、ぶっきらぼうに「用件は…」ときく始末。

 

 われわれが相談ごとも持ち込めないようではろうあ者の人権を無視する行為だと批判しているもの。

 

 これについて市福祉事務所の担当女子職員は「私たちは決して身障者だから、ろうあ者だからと差別していないお二人のひがみではないかと思う」と前置きして事実を否定すると共に「ろうあ協会ニュースに報道されている7月8日ごろに二人が来られたのは事実だ。

 

 ろうあ協会に対する市の補助金が少ないので、もっとあげてほしいとの交渉だった。

 

 市の補助金は盲人、ろうあ、肢体の三団体に対し上部機関の市身障者連絡協議会に一括して渡し、同協議会が三団体に配分している。

 

 昨年の例をみると七万九千円を市身障連に出しており身障連は、これを盲人協会に二万六千円、肢体協会には三万四千円、ろうあ協会に一万九千円を配分した。

 

 配分は市身障連でやっているので詳しいことはわからないが、会員数によって配分しているようだ。このため会員数の少ないろうあ協会が少なくなっている。

 

 福祉事務所としてはこれでは気の毒だと思いろうあ協会には、ろうあ者厚生対策事業費として特別に一万五千円出している。」

 

助成金が少ない不満が福祉事務所にあたっているのではないかと思う。」と所見を述べている。

 

驚いた宇治市福祉事務所長

ろうあ協会の二人役員を

    呼んで「筆談」をしたが

 

 同ニュースで「私達は見えない目、不自由な手足、きこえない耳で毎日夜おそくまで仕事をして月給一万円そこそこで生活している。その反面、市福祉事務所は上司の命をそのまま手落ちなく、事務的に処理して行けばよいと、そんなことで身障者の福祉はよくならない。我々に対する認識不足も甚だしい。重大な差別だ」と憤懣をブチまけている。

 

 地元紙の新聞記事を見て、福祉事務所所長は非常に驚いたらしく、ろうあ協会の二人役員を呼んで「筆談」をしているが、その一人は文字もことばも発することの出来ないろうあ者だとはまったく意識になかったようである。
 
「聞こえないから文で書いたら=筆談したら話が通じる。」

 

と安易に考えていたようである。