手話を知らない人も
手話を学んでいる人もともに
{再編集投稿・1969年頃}京都における手話と手話通訳の遺産と研究・提議 佐瀬駿介
印刷案内をすべてのろうあ者のもとに届ける行動。
自転車のライトの灯りではすすめない漆黒の闇。
その上、聴覚障害があるとバランス機能が失われることが多く、仕事で疲れ切った身体で自転車をこいでいると、酔っ払い運転のように見られて、しばしば職務質問を受けた。
早口で言う警察官の言葉が分からない、派出所に連れて行かれて身体障害者手帳を見せると解放される。
農業水路にはまりこんで泥だらけ
やっとろうあ者の家にたどり着いたのに
田んぼのあぜ道。
農業水路にはまりこんで泥だらけになる。
そして、やっとろうあ者の家にたどり着いたのに門前払い。
再び、漆黒の闇に出迎えられて帰路につく。
まるで、ぽたり、ぽたりと落ちる汗のしずくは、大岩に穴を開けるような気の遠くなるような取り組みの現れでもあったと言える。
ろうあ者は読み書きはもちろん
口話も手話も分からないが
お百度参りの末に、ろうあ者と出会える。
そのろうあ者は、読み書きはもちろん口話も、手話も分からない。
ただ、「農業をする仕草だけは分かる。」
鍬を振り下ろす。
鎌を動かす。
脱穀する動き。米と藁を分別する方法。
一緒にその「仕草」をくりかえして、帰りのバイバイを繰り返す。
何かしら心が通じあう
次第に会っていると
「何かしら心が通じあう」
と、ろうあ者成人講座の案内をわたす。
手を合わせて「おねがい」の動作をする。
すると相手も「おねがいの動作」。
ろうあ者成人講座の日に家まで迎えに行く。
そして会場に行くが、ただ「ぽかーん」としているが、終わると家までついて送っていく。
みんなが「バイバイ」とする。すると同じように「バイバイ」をする。
その繰り返しの中で、ろうあ者成人講座の参加者をKろうあ者相談員が増やしてきた。