手話を知らない人も
手話を学んでいる人もともに
{再編集投稿・1969年頃}京都における手話と手話通訳の遺産と研究・提議 佐瀬駿介
大事な問題 優生保護法などの問題は
よくわかりあえる手話通訳者へ
司会
通訳している中で、 労働争議やむずかしい間題にぶつかるときもあると思いますが、これからは、このような間題点で話し合つていただきたいと思います。
野沢
市役所へ相談にいくのはまれで
ろう者相談員の間題のところへ
通訳者の立場について、どういう気持ちでやつていくのか、聞こえない人の立場で通訳していくぺきではないか?
坂本
ろう者相談員の立場から、いろいろ相談をうける。
市役所へ相談にいくのはまれで、相談員の方へかけっけてくる。
身障相談員といわれている人でも、 大事な問題、例えば、優生保護法等具体的な間題については、 手話のわかる自分達の方へ行くようにといわれたと言って来る。
単に手話をやるだけでなく、宗教のこと、その他いろんなことを通訳者は知つておくべきである。
不妊手術などの問題は
それを話すことが出来る信頼すべき人々へ
現在盛んにメディアで取りあげられている優生保護法・不妊手術問題は、ろうあ者にとっても多くの人にとっても深刻な問題であったことが1969年の手話通訳者会議でも明らかにされている。
ろうあ者の場合は、このような問題を役所で相談しても受け入れられず(行政はむしろ優生保護法に基ずく不妊手術等「不幸な子どもをつくらない」運動に組みしていた場合が多い。)、親身になって話を聞き、受け止めてくれるろうあ者相談員や手話通訳者のところに話が持ち込まれていたことが解る。
優生保護法に基ずく不妊手術などの問題は、当人にとっては深刻で「恥辱を受けた」などとらえられていた問題も含有していたが、あえてそれを話すことが出来る信頼すべき人々がいたことも事実として記録されている。
国・社会的に
強要されたと同様の「同意書」
2018年8月。
あるテレビ放映の中で大学教授が、同意書がだされていたことから考えても国だけの責任とは言えない、とインタビューに答えていた。
この教授は、同意書なるものが本人の同意もしくは理解の上で出された前提で話をしているが、不妊手術は成人の場合、ほとんどが本人が知りうる状況のないまま書類作成されたこと。
さらに未成年の場合は同意書は本人ではないはずである。
同意と納得の上で不妊手術の同意書が出されたとする前提でインタビューに堂々と言ってのける大学教授の不見識には唖然とする。
だが、この背景は過去の問題としてだけではなく極めて深刻な問題である。
歴史的社会状況などを考えない形式的空論で不妊手術に追い込まれた人々の責任を、当事者の責任にすり替える考えは許し難いものがある。
これらのことが、戦後の障害者問題や諸問題を解明する「考え」として台頭して来ていることに大いなる怒りを覚えていいだろう。