手話 と 手話通訳

手話通訳の取り組みと研究からの伝承と教訓を提起。苦しい時代を生き抜いたろうあ者の人々から学んだことを忘れることなく。みなさんの投稿をぜひお寄せください。みなさんのご意見と投稿で『手話と手話通訳』がつくられてきています。過去と現在を考え、未来をともに語り合いましょう。 Let's talk together.

基本に迫って 手話学習  コミュニケーションの意味を

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                                   ある聴覚障害者との書簡  1993年 寄稿

 

 速効力のあるコミュニケーション手段となる、と書きましたがコミュニケーション(communication)の語源は、ラテン語のコミュニス(communis)からとされています。

 

 「共通したもの」「あるいは共有物」の意味があるとされていますが、コミュニケーションの「基本」を理解するためにはとても大切な意味があると思います。

 

  大国語辞典や大漢和辞典で調べる手話学習

 

  手話を学ぶ時、わからなくなったら大国語辞典や大漢和辞典で調べることが多くありました。

 

 辞書は知識の宝庫です。

 

 なぜこのような手話をするのか、わからなかった時にいつも辞書を調べたりして解るとろうあ者の人にそれを知らせました。

 

 手話をある意味伝習的に使っていたろうあ者は、飛び上がって喜んでくれた時が多くあります。

 

 先輩たちは、ここまで考えて手話をしていたのかと、このややこしい漢字の特徴を捉えて手話にする。

 

 意味も含めて。すごい知識と知恵を先輩たちは持っていたんだ、とよく言われました。


   一方的な伝達と異なる共有

 

 コミュニケーションは、よく「伝達」等と言われます。

 

 コミュニケーションとは、ただ一方的に伝えただけ「伝達」では成り立たないのです。

 

 伝えた相手が理解し、お互いにその意味や内容等をしっかり「共有(共通の理解レベル)」して初めて成立するものなのです。

 

  理解 共有できるまで根気よく

 

 人は多くの場合、自分の話している言葉や話は相手も同じように理解してくれていると思っています。

 

 会社では、よく「部下や社員等の理解レベルが低い」などの嘆きや不満を経営者や管理者から聞きます。
 
 しかし、「部下や社員等」の理解度を嘆く前に、発している・伝えている言葉が、丁寧にわかりやすく、理解、共有できるまで根気よく伝えられているかを経営者、管理者自身が振り返ってみることも大切なことなのです。


 あなたの手紙の新年会の様子。

 あなたの友人は必死になってすべて指文字で新年会の話を伝え、あなたも目を皿のようにしてそれを見ていた。

 

 そのことは、「伝達」と言うより、共有でしょう。

 

 指文字で伝え合う「共有」が新年会の場であったのです。

 

 それを指文字だからとか、時間がかかりすぎるとか嘲笑することはあってはならないと思います。

 

 ひとつひとつの指文字が伝えられ、あなたが頷いたり、笑ったり‥‥‥そこには一方向でない共有された世界が拡がっていたのです。