手話 と 手話通訳

手話通訳の取り組みと研究からの伝承と教訓を提起。苦しい時代を生き抜いたろうあ者の人々から学んだことを忘れることなく。みなさんの投稿をぜひお寄せください。みなさんのご意見と投稿で『手話と手話通訳』がつくられてきています。過去と現在を考え、未来をともに語り合いましょう。 Let's talk together.

手話通訳 の制度化 身分の位置づけ、その他を全部含んだ意味の制度化でと厚生大臣言明 国会史上初めて 手話 による質問

 

f:id:sakukorox:20170527204937j:plain

  (国会議事録 資料と解説) 第094回国会 予算委員会 第3号1981(昭和56年2月13日(金曜日)議事録より解説 ろうあ者福祉、手話、手話通訳などなどのことが日本の地方議会で初めて取り上げられたのが福島。福島のろうあ協会や手話通訳者が国会議員と話し合い、いろいろなところに案内して国の福祉の改善に迫ったことはあまり知られていない。1978年予算委委員会の議事録を入手するのに苦労をしたが、今は容易に入手できる。この議事録の内容を解説と共にみなさんと共に考えて行きたい。佐瀬駿介


1978年3月国会において初めて聴覚障害者の問題や手話通訳の必要性が取り上げられた。
 その時、厚生大臣は、問題や改善の指摘に対して「おっしゃるとおりだと思います。私も同感です」と言い、厚生省の役人もまた「先ほどからお話出ておりますように、聾唖者の社会生活で手話が非常に大切であるというふうな認識に立つわけでございます。」と答えた。

 1978(昭和53)年3月国会では、厚生大臣と厚生省の役人との間で大きなずれの問題が出ていた。厚生大臣の答弁に従って厚生省の役人は事業をすすめるべきものであるのが大原則だが、官僚主導の事業が並べ立てられていた。

 そのため3年後の1981年に国会議員が国会史上初めて手話で質問をし、政府にその改善を迫った。
 
これに対して内閣総理大臣は、「施策を総合的にここで検討し、その成果をおさめるように最善を尽くしてまいりたいと、このように考えております。」「今後長期計画、これを総合的に、整合性を持って実効の上がるように対策を講じてまいります。」と応える。
 そのことに基づいてさらに質問されるが、この二つの国会質問と答弁が、手話通訳や手話通訳制度の問題の基礎となったことは記憶されなければならないし、この二つが今日の手話通訳や手話通訳制度の出発点としてその後の進捗を吟味しなければならないことを言うまでもないことだろう。

 

    厚生労働省

聴覚障害者のために

さまざまな事業をしていると言うが

 

○下田京子君 それで、お尋ねしたい点なんですけれども、昨年調査されました中で、全体的にいま障害者がどのような状況になっているか、全体の数と障害別の数を教えていただきたいと思います。

 

○政府委員(山下眞臣君) お答えいたします。

 

  総数百九十七万七千でございますが、肢体不自由が百十二万七千、五七%でございます。

 それから視覚障害三十三万六千、一七%でございます。

] それから聴覚、音声、言語機能障害、聾唖者が中心でございますが、三十一万七千人、一六%でございます。あと結核回復者等の内部障害者十九万七千人、その他を含めまして約一〇%。障害種類別には以上でございます。

 

○下田京子君 一番多いのが肢体で、次が視覚で、言語障害というかっこうなんですが、厚生大臣からお話になりました聴覚、言語障害の問題、聾唖者問題で、さっき事業のお話が総理からあったんですけれども、具体的な中身、詳しくちょっと御説明ください。

 

○政府委員(山下眞臣君) 聴覚、音声、言語障害者のための対策の概要でございます。

 

 まず最初に更生医療の給付、補聴器あるいは人工喉頭などの補装具の給付、こういったことが一つございます。

 

 あと、目覚まし時計やサウンドマスターなどの日常生活用具を給付するというような事業も行っております。

 

 そのほかに、もちろん国立のリハセンターを中心といたしました聾唖者の更生施設、全国にございますわけでございます。

 

 それから、大臣からお話がございましたように、在宅対策といたしまして障害者社会参加促進事業の中におきまして手話奉仕員の養成事業、手話通訳の設置事業あるいは聾唖者の日曜教室あるいは音声機能障害者発声訓練事業などを実施をいたしております。

 

  そのほか、全日本聾唖連盟に対しましては、標準手話の研究事業でありますとか、あるいは手話通訳の指導者の養成、研修事業、こういったものの委託活動もいたしておるわけでございます。

 

  五十六年度からの新規事業といたしましては、障害者社会参加促進事業の中に要約筆記奉仕員の養成事業というのを新規事業として取り上げております。

 

 先ほど申し上げました日常生活用具給付事業の中におきましても、五十六年度新たに難聴者用の特殊電話の取り入れというようなこともいたしております。

 

 それから全日本聾唖連盟に対しましては、新規事業といたしましてビデオカセット・ライブラリーの製作、貸出事業を委託するというようなこと等を行っておる次第でございます。

 

   メニューの事業数と

一県当たりの単価が

     どのくらいになりますか

 

○下田京子君 いろいろおやりになっているというふうなことでお話がありましたけれども、特に障害者の社会参加促進事業の中身について具体的にお聞きしたいんですけれども、そのメニューの事業数と、それから一県当たりの単価がどのくらいになりますかということ。

 

  二つ目には、実績の出ている五十四年度ですね、いわゆる聾唖者向けサービスの事業実施率、手話の関係でどうなっているか、二点お聞きします。

 

○政府委員(山下眞臣君) まず、障害者社会参加促進事業の中におきます聾唖者向け事業の実施状況でございますが、手話奉仕員の養成事業は、この事業は都道府県と指定都市が中心になりますが、全県、全指定都市一〇〇%実施をいたしております。

 

 それから手話通訳の設置事業、これは四十二県で実施をいたしております。

 

 それから手話奉仕員の派遣事業、これは四十二県で実施をいたしておるところでございます。
 
 なお、障害者社会参加促進事業の一県当たり単価でございますが、五十六年度予算案におきまして事業費千六百万ということでございます。

 

    一つの事業はたった八十万円
    やってもやらなくてもいいところに問題

 

○下田京子君 いま養成事業の方は一〇〇%だということで、あとは県数だけでお話しになりましたけれども、それぞれ四分の一実施してないということでございますね。

 

 七五%が実施で、一県当たりが千六百万ですから、二十事業あるとすれば一つの事業はたった八十万円ということになるんです。

 

 これは大臣御存じだと思うんですけれどもね、こういう形の中で二十事業も一緒になってやる、一つの事業にしたらたった八十万円でしょう。

 

 しかも、メニュー事業というのはやってもやらなくてもいいというところに問題があるわけなんです。

 

 手話は聾唖者にとって必要
  必要欠くべからざるものは
国の責任においてきちんとやるべき
  手話通訳者の労働の質が

明確になっていない
    職業病も出て

医学的研究もすすめられている

 

 さっき言ったように、手話は聾唖者にとって必要なんです。

 

 とすれば、さっきのお話になりますけれども、今後十カ年計画をお立てになるというときに、そういう必要欠くべからざるものは国の責任においてきちんとやるべきじゃないかという点で明快な御答弁をいただきたいわけなんですが、その観点として、これも大臣は御承知だと思うんですけれども、あえて申し上げますと、手話通訳者というその労働の質が明確になっておりません。

 

 職業病なんかも出ております。

 

 医学的ないろんな研究もいまいろいろ進められているところです。

 

   専任の手話通訳者の身分と

  制度をどう保障していくか
   きちんと長期計画の中に

 

 そういう中で専任の手話通訳者、つまりいろんなボランティア活動をやる、派遣活動をやる、そういうことの中核となる専任の手話通訳者の身分と制度をどう保障していくかということを見て、きちんと長期計画の中に盛り込んでいただきたいという点で御答弁をいただきたいと思います。

 

    助成金が少ないこれはおっしゃるとおり
    その制度化の中にはいまの専門員
   あるいは身分の位置づけ
 その他を全部含んだ意味の制度化
 発言のとおりでございます
    努力をいたします


国務大臣(園田直君) 二十の事業に対する助成金が少ない、これはおっしゃるとおりでございます。

 

 今後努力をいたします。

 

 私が制度化と申しましたのは、その制度化の中にはいまの専門員、あるいは身分の位置づけ、その他を全部含んだ意味の制度化でございまして、発言のとおりでございます。

 

 努力をいたします。

 

  内閣総理大臣
行政のかなめになって
総合調整をしながら効果的に進めて

 

○下田京子君 最後に、総理にお尋ねしたいんですけれども、十カ年計画を実りあるものにするという点で、これは厚生大臣は他の委員に御答弁されている問題なんですが、政府の推進本部は閣議決定によりますとこれは一年でなくなるということだったけれども、ずっと継続したい、こう述べられているんです。

 

 総理は本部長です。

 

 ですから、当然総理としてそれはもう本部を継続するというふうな御決意はあると思うんですけれども、明確にひとつ御見解を聞かしていただきたいと思います。

 

国務大臣鈴木善幸君) 国際障害者年の本部は、これはこの記念すべき年を意義あるものにしたい、これを契機に一層身障者対策を効果的に推進をしたい、国民各方面の御理解、御協力もお願いをしたい、こういうことで準備のために設けられたものでございます。

 

 ここのこの対策本部の特別委員会におきまして、先ほど来下田さんがおっしゃっておりますところの国内長期行動計画等を鋭意検討を進めておるわけでございます。

 

 また、身障者対策の行政の総合的な調整機関といたしましては、御承知のように中央心身障害者対策協議会というものがございます。

 

 今後ともこの協議会を中心に総合的な行政の施策を進めてまいると、こういうことでございまして、いま申し上げたようなことからこの対策本部というものは準備のために設けられたものでございますから、これは今後は存置いたしませんで、いま申し上げたように中央身障者対策協議会、これが行政のかなめになって総合調整をしながら効果的に進めてまいると、このように考えております。

 

   内閣総理大臣が責任を持って継続を

 

○下田京子君 厚生大臣は、本部はやっぱり必要であるし継続していきたいというふうに担当大臣としてお考えのようですけれども、この国際障害者年の本部長は総理なんです。

 

 ですから、そういう点での本部長が責任を持って、一年きりじゃなくて継続するという点でこれはもう一度お考えいただきたいという点は御要望しておきたいと思います。