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手話と手話通訳

京都の手話通訳者の取り組みと研究の中からの伝承と教訓をみなさまに提起します。戦前戦後の苦しい時代を生き抜いたろうあ者の人々から学んだことを決して忘れることはなく。

手話通訳 の制度化 身分の位置づけ、その他を全部含んだ意味の制度化でと厚生大臣言明 国会史上初めて 手話 による質問

 

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  (国会議事録 資料と解説) 第094回国会 予算委員会 第3号1981(昭和56年2月13日(金曜日)議事録より解説 ろうあ者福祉、手話、手話通訳などなどのことが日本の地方議会で初めて取り上げられたのが福島。福島のろうあ協会や手話通訳者が国会議員と話し合い、いろいろなところに案内して国の福祉の改善に迫ったことはあまり知られていない。1978年予算委委員会の議事録を入手するのに苦労をしたが、今は容易に入手できる。この議事録の内容を解説と共にみなさんと共に考えて行きたい。佐瀬駿介


1978年3月国会において初めて聴覚障害者の問題や手話通訳の必要性が取り上げられた。
 その時、厚生大臣は、問題や改善の指摘に対して「おっしゃるとおりだと思います。私も同感です」と言い、厚生省の役人もまた「先ほどからお話出ておりますように、聾唖者の社会生活で手話が非常に大切であるというふうな認識に立つわけでございます。」と答えた。

 1978(昭和53)年3月国会では、厚生大臣と厚生省の役人との間で大きなずれの問題が出ていた。厚生大臣の答弁に従って厚生省の役人は事業をすすめるべきものであるのが大原則だが、官僚主導の事業が並べ立てられていた。

 そのため3年後の1981年に国会議員が国会史上初めて手話で質問をし、政府にその改善を迫った。
 
これに対して内閣総理大臣は、「施策を総合的にここで検討し、その成果をおさめるように最善を尽くしてまいりたいと、このように考えております。」「今後長期計画、これを総合的に、整合性を持って実効の上がるように対策を講じてまいります。」と応える。
 そのことに基づいてさらに質問されるが、この二つの国会質問と答弁が、手話通訳や手話通訳制度の問題の基礎となったことは記憶されなければならないし、この二つが今日の手話通訳や手話通訳制度の出発点としてその後の進捗を吟味しなければならないことを言うまでもないことだろう。

 

    厚生労働省

聴覚障害者のために

さまざまな事業をしていると言うが

 

○下田京子君 それで、お尋ねしたい点なんですけれども、昨年調査されました中で、全体的にいま障害者がどのような状況になっているか、全体の数と障害別の数を教えていただきたいと思います。

 

○政府委員(山下眞臣君) お答えいたします。

 

  総数百九十七万七千でございますが、肢体不自由が百十二万七千、五七%でございます。

 それから視覚障害三十三万六千、一七%でございます。

] それから聴覚、音声、言語機能障害、聾唖者が中心でございますが、三十一万七千人、一六%でございます。あと結核回復者等の内部障害者十九万七千人、その他を含めまして約一〇%。障害種類別には以上でございます。

 

○下田京子君 一番多いのが肢体で、次が視覚で、言語障害というかっこうなんですが、厚生大臣からお話になりました聴覚、言語障害の問題、聾唖者問題で、さっき事業のお話が総理からあったんですけれども、具体的な中身、詳しくちょっと御説明ください。

 

○政府委員(山下眞臣君) 聴覚、音声、言語障害者のための対策の概要でございます。

 

 まず最初に更生医療の給付、補聴器あるいは人工喉頭などの補装具の給付、こういったことが一つございます。

 

 あと、目覚まし時計やサウンドマスターなどの日常生活用具を給付するというような事業も行っております。

 

 そのほかに、もちろん国立のリハセンターを中心といたしました聾唖者の更生施設、全国にございますわけでございます。

 

 それから、大臣からお話がございましたように、在宅対策といたしまして障害者社会参加促進事業の中におきまして手話奉仕員の養成事業、手話通訳の設置事業あるいは聾唖者の日曜教室あるいは音声機能障害者発声訓練事業などを実施をいたしております。

 

  そのほか、全日本聾唖連盟に対しましては、標準手話の研究事業でありますとか、あるいは手話通訳の指導者の養成、研修事業、こういったものの委託活動もいたしておるわけでございます。

 

  五十六年度からの新規事業といたしましては、障害者社会参加促進事業の中に要約筆記奉仕員の養成事業というのを新規事業として取り上げております。

 

 先ほど申し上げました日常生活用具給付事業の中におきましても、五十六年度新たに難聴者用の特殊電話の取り入れというようなこともいたしております。

 

 それから全日本聾唖連盟に対しましては、新規事業といたしましてビデオカセット・ライブラリーの製作、貸出事業を委託するというようなこと等を行っておる次第でございます。

 

   メニューの事業数と

一県当たりの単価が

     どのくらいになりますか

 

○下田京子君 いろいろおやりになっているというふうなことでお話がありましたけれども、特に障害者の社会参加促進事業の中身について具体的にお聞きしたいんですけれども、そのメニューの事業数と、それから一県当たりの単価がどのくらいになりますかということ。

 

  二つ目には、実績の出ている五十四年度ですね、いわゆる聾唖者向けサービスの事業実施率、手話の関係でどうなっているか、二点お聞きします。

 

○政府委員(山下眞臣君) まず、障害者社会参加促進事業の中におきます聾唖者向け事業の実施状況でございますが、手話奉仕員の養成事業は、この事業は都道府県と指定都市が中心になりますが、全県、全指定都市一〇〇%実施をいたしております。

 

 それから手話通訳の設置事業、これは四十二県で実施をいたしております。

 

 それから手話奉仕員の派遣事業、これは四十二県で実施をいたしておるところでございます。
 
 なお、障害者社会参加促進事業の一県当たり単価でございますが、五十六年度予算案におきまして事業費千六百万ということでございます。

 

    一つの事業はたった八十万円
    やってもやらなくてもいいところに問題

 

○下田京子君 いま養成事業の方は一〇〇%だということで、あとは県数だけでお話しになりましたけれども、それぞれ四分の一実施してないということでございますね。

 

 七五%が実施で、一県当たりが千六百万ですから、二十事業あるとすれば一つの事業はたった八十万円ということになるんです。

 

 これは大臣御存じだと思うんですけれどもね、こういう形の中で二十事業も一緒になってやる、一つの事業にしたらたった八十万円でしょう。

 

 しかも、メニュー事業というのはやってもやらなくてもいいというところに問題があるわけなんです。

 

 手話は聾唖者にとって必要
  必要欠くべからざるものは
国の責任においてきちんとやるべき
  手話通訳者の労働の質が

明確になっていない
    職業病も出て

医学的研究もすすめられている

 

 さっき言ったように、手話は聾唖者にとって必要なんです。

 

 とすれば、さっきのお話になりますけれども、今後十カ年計画をお立てになるというときに、そういう必要欠くべからざるものは国の責任においてきちんとやるべきじゃないかという点で明快な御答弁をいただきたいわけなんですが、その観点として、これも大臣は御承知だと思うんですけれども、あえて申し上げますと、手話通訳者というその労働の質が明確になっておりません。

 

 職業病なんかも出ております。

 

 医学的ないろんな研究もいまいろいろ進められているところです。

 

   専任の手話通訳者の身分と

  制度をどう保障していくか
   きちんと長期計画の中に

 

 そういう中で専任の手話通訳者、つまりいろんなボランティア活動をやる、派遣活動をやる、そういうことの中核となる専任の手話通訳者の身分と制度をどう保障していくかということを見て、きちんと長期計画の中に盛り込んでいただきたいという点で御答弁をいただきたいと思います。

 

    助成金が少ないこれはおっしゃるとおり
    その制度化の中にはいまの専門員
   あるいは身分の位置づけ
 その他を全部含んだ意味の制度化
 発言のとおりでございます
    努力をいたします


国務大臣(園田直君) 二十の事業に対する助成金が少ない、これはおっしゃるとおりでございます。

 

 今後努力をいたします。

 

 私が制度化と申しましたのは、その制度化の中にはいまの専門員、あるいは身分の位置づけ、その他を全部含んだ意味の制度化でございまして、発言のとおりでございます。

 

 努力をいたします。

 

  内閣総理大臣
行政のかなめになって
総合調整をしながら効果的に進めて

 

○下田京子君 最後に、総理にお尋ねしたいんですけれども、十カ年計画を実りあるものにするという点で、これは厚生大臣は他の委員に御答弁されている問題なんですが、政府の推進本部は閣議決定によりますとこれは一年でなくなるということだったけれども、ずっと継続したい、こう述べられているんです。

 

 総理は本部長です。

 

 ですから、当然総理としてそれはもう本部を継続するというふうな御決意はあると思うんですけれども、明確にひとつ御見解を聞かしていただきたいと思います。

 

国務大臣鈴木善幸君) 国際障害者年の本部は、これはこの記念すべき年を意義あるものにしたい、これを契機に一層身障者対策を効果的に推進をしたい、国民各方面の御理解、御協力もお願いをしたい、こういうことで準備のために設けられたものでございます。

 

 ここのこの対策本部の特別委員会におきまして、先ほど来下田さんがおっしゃっておりますところの国内長期行動計画等を鋭意検討を進めておるわけでございます。

 

 また、身障者対策の行政の総合的な調整機関といたしましては、御承知のように中央心身障害者対策協議会というものがございます。

 

 今後ともこの協議会を中心に総合的な行政の施策を進めてまいると、こういうことでございまして、いま申し上げたようなことからこの対策本部というものは準備のために設けられたものでございますから、これは今後は存置いたしませんで、いま申し上げたように中央身障者対策協議会、これが行政のかなめになって総合調整をしながら効果的に進めてまいると、このように考えております。

 

   内閣総理大臣が責任を持って継続を

 

○下田京子君 厚生大臣は、本部はやっぱり必要であるし継続していきたいというふうに担当大臣としてお考えのようですけれども、この国際障害者年の本部長は総理なんです。

 

 ですから、そういう点での本部長が責任を持って、一年きりじゃなくて継続するという点でこれはもう一度お考えいただきたいという点は御要望しておきたいと思います。

 

 

 

1981(昭和56年2月13日 国会史上初めて 手話 による質問 総理大臣 手話 がなければ私の質問も総理の答弁もわかりません

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(国会議事録 資料と解説) 第094回国会 予算委員会 第3号1981(昭和56年2月13日(金曜日)議事録より解説 ろうあ者福祉、手話、手話通訳などなどのことが日本の地方議会で初めて取り上げられたのが福島。福島のろうあ協会や手話通訳者が国会議員と話し合い、いろいろなところに案内して国の福祉の改善に迫ったことはあまり知られていない。1978年予算委委員会の議事録を入手するのに苦労をしたが、今は容易に入手できる。この議事録の内容を解説と共にみなさんと共に考えて行きたい。佐瀬駿介


  ○下田京子君 総理としては武器輸出の三原則を守って、これは技術協力等も含めてもうきちんとやっていきたいと、こういうことなんですけれども、現実はしり抜けである。このしり抜け問題をめぐって、いろいろ国会等、各党でも問題になっているということを御承知いただきたいと思うわけです。
 
  総理大臣  手話がなければ

私の質問も総理の答弁もわかりません

 

総理、ちょっとごらんください。(手話)

 

  次に、障害者対策についてお尋ねいたします。

 

  きょう、全国から耳の不自由な聾唖者の皆さんが国会傍聴に来ております。

 

 総理、聾唖者の皆さんは、手話がなければ私の質問も総理の答弁もわかりません。

 

 手話があればこそ国会傍聴もできるんです。

 

    「完全参加と平等」という国際障害者年
    十年間の計画をしっかりつくってほしい

 

  私は、いま手話でお話ししましたが、きょうお見えになっている、いま傍聴されている聾唖者の皆さんも含めまして、全国各地でたくさんの障害者と懇談をしてまいりました。

 

 特に、秋田、宮城、福島等では多くの団体からたくさんの要望を出されたんですけれども、その中で一番大きかったことは、「完全参加と平等」という国際障害者年に当たってのことし、重大な重点施策の一つとしては、今後十年間の計画をしっかりつくってほしいと、こういうお声でした。

 

 このお声に対して、総理並びに厚生大臣の決意を聞きたいと思います。

 

   内閣総理大臣

 成果をおさめるように最善を尽くして

 

国務大臣鈴木善幸君) 今年は、身障者の記念すべき国際年でございます。

 

 身障者の方々の社会への完全参加、平等、これを世界的な規模で今後十年間に実現をし達成をしようと、こういう共通の理念に立ちまして努力をしていくわけでございますが、わが国におきましても対策本部を設け、この記念すべき年の諸般の行事、またこれを契機として身障者対策等を強力に推進をするというために協議をし、また方策を総合的に確立を図っておるところでございます。

 

 今後におきましても、中央身障者対策協議会、これを中心といたしまして各般の施策を総合的にここで検討し、その成果をおさめるように最善を尽くしてまいりたいと、このように考えております。

 

   手話通訳の養成その他を
 制度化の方に持っていきたい   

 

国務大臣(園田直君) 御発言のとおり、手話通訳というものは、日々これが聞こえない方の社会に大事になってきておりまするし、テレビやあるいは劇等でもすでにこれを採用して、全国の方々に便宜を図っているわけでありますけれども、問題はその手話通訳の養成とか人員の確保とか、こういうところに問題があるわけでありまして、厚生省としては障害者社会参加促進事業の中で手話奉仕員の養成及び派遣事業、手話通訳設置事業の三つの事業を施しておりますが、関係団体へ委託事業として手話通訳指導者養成、研修事業及び標準手話研究事業を実施をしております。

 

  なお、この手話通訳の養成その他を制度化しようという御意見も各方面から強く出ているところでありまして、障害者年の中に長期計画の委員会があって、これで検討してもらっておりまするが、こういう御意見も承って、これを制度化の方に持っていきたい、こう考えているところでございます。

 

      十カ年計画という長期的な計画を
きちんとおとりいただけるかどうか

 

○下田京子君 私のお伺いしたことで特に聞きたかったところは、十カ年計画という形で長期的な計画をきちんとおとりいただけるかどうか、この点で明快な答弁がありませんでしたので、よろしくどうぞ。

 

 総理並びに厚生大臣

 

  制度化するという方に

持っていきたいと努力
      実効の上がるように対策を講じて

 

国務大臣(園田直君) いま私は言ったつもりでございましたが、言葉が足りませんでしたが、いま総理府に設置された障害者年の促進の会合、その中の特別委員会で長期計画をつくっております。

 

 その長期計画の中でこの手話の問題を制度化しようと、こういうことを検討してもらっておりまするので、関係方面の審議会の意見を聞いてこれを制度化するという方に持っていきたいと努力をしておるところでございます。

 

国務大臣鈴木善幸君) 先ほど申し上げましたように、政府としましては、中央身障者対策協議会、これが中心になりまして、今後長期計画、これを総合的に、整合性を持って実効の上がるように対策を講じてまいります。

 

   いろんな障害者、障害別に、程度別に
 基本的な働く権利や学ぶ権利や
 生活する権利を保障したものでなければ

 

○下田京子君 十カ年計画ということで、長期計画、同じだと思うんですけれども、その基本的な方向づけとして、厚生大臣は聾唖者の手話通訳制度化の方向を検討していると、もう明確にお答えいただいたわけなんですけれども、私はこの問題はもうちょっとあと突っ込んでお聞きしたいわけなんですが、問題は、聾唖者の対策も含めまして、いろんな障害者、障害別に、程度別に、基本的な働く権利や学ぶ権利や生活する権利を保障した、そういうものでなければならない、こう考えているわけなんです。

 

 そういう基本的な立場からそれぞれの事業を見直して新たな事業を仕組んでいかなければならないだろう、こう思うわけなんです。
 

 

厚生省としては各省に呼びかけて、一つ一つ理解を深めて実行させていく努力をしなきゃいかぬだろう 国会史上初めて 手話 による質問

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(国会議事録 資料と解説) 第084回国会 予算委員会第四分科会 第3号1978(昭和53)年3月31日(金曜日) 議事録より引用&解説 ろうあ者福祉、手話、手話通訳などなどのことが日本の地方議会で初めて取り上げられたのが福島。福島のろうあ協会や手話通訳者が国会議員と話し合い、いろいろなところに案内して国の福祉の改善に迫ったことはあまり知られていない。1978年予算委委員会の議事録を入手するのに苦労をしたが、今は容易に入手できる。この議事録の内容を解説と共にみなさんと共に考えて行きたい。佐瀬駿介

 

      テレビの字幕または手話通訳が15分だけ
  もっと見られる時間 

       時間を延長してほしい

 

○下田京子君 大臣、積極的にそうした聴覚障害者含めて障害をお持ちの皆さんが一般の人たちと変わりない本当に暮らしができる方向で、私が提案した三つのことも積極的に対応していくという御答弁いただいたと思うんですが、その際に、再度決意のほどをお伺いしたいわけなんですが、実は具体的に申しますと、たとえば聴覚障害者の皆さん方いろいろ出されている御要望で、次の幾つかのことがあるんです。

 

  申しますと、現在テレビで字幕または手話通訳というのがなされるのはNHKの金曜日の四時半ごろ十五分しかないんです。

 

 それをもう少し時間を延長してほしいとか、あるいはもっと見られる時間――四時半などというとお仕事しているときですから、そんな要求があります。すると、これは郵政省でございます、こういうふうに言われます。
 
   選挙の際には   立会演説会場に手話通訳を

 

 それから選挙の際には、ひとつ御要望あれば立会演説会場にも派遣するとか、これはもうずいぶんやっていますけれども、あるいはいろいろと通訳事業がやれるようにというふうなことで、細々話していくと、それは自治省でございます。

 

    口話がいいのか指話がいいのか

    手話がいいのか
      三カ月健診や一歳、三歳児の健診
        準禁治産者  財産相続権

                 いろいろな問題、調査

 

  あるいは教育の問題で、口話がいいのか指話がいいのか、手話がいいのかと、いろいろ議論がございます。これは文部省でございます、こうなります。

 

  また、障害というのは早く見つければ、早く見つけて早くそれなりのいい処置がなされればそれだけ効果が早いわけです。

 

 となると、三カ月健診や一歳、三歳児の健診どうの、これは厚生省になりますけれどもというふうなぐあいで、いろいろと各省庁に分かれているわけです、要求が。

 

  特に、いま最初に申しましたけれども、民法の第十一条の問題につきましては、聴覚障害者イコール準禁治産者ということでもって財産相続権も、あるいは銀行から借り受けることもできないという大きな問題があるわけです。

 

 これは法務省でございますなどというような調子ですと、もうどうにもなりません。

 

  そこで、こういったいろいろな問題、調査なさいますというお話だったので、その際にいろいろあるけれども、これはあちこち分けないで、そういうことも含めて、障害者の本当に切なる要求であり、大臣が言われております本当に自立ができるような方向で責任を持って各関係省庁にも働きかけて、厚生省窓口になって、大臣がその解決のために御努力いただきたいと思います。

 

 その決意のほどを。

 

     聾唖者の福祉対策というのは
   私どもが責任を持ってやらなきゃいかぬ

 

国務大臣小沢辰男君) それは聾唖者の福祉対策というのは、これはもう私どもが責任を持ってやらなきゃいかぬことですね。

 

 その福祉の一環として手段、方法の中に、各省といろいろ関連がある問題が出てくると思うんです。

 

 従来は、各省庁に分かれる問題は何でも大体総理府ということにいつもなります。

 協議会を総理府に置いてそこへ集まってやるんだ、こうなっておるんですが、私は余りまだるっこしいことをしないで、できるだけ厚生省が努力すべきだと思います。

 しかし、それをやらず権限はなかなかないんです、厚生省は。

 

   各省に呼びかけて

一つ一つ理解を深めて実行

 

 テレビに一日中やれと言ってこっちが命令する、自分が持っているわけじゃないですから、そういう点はありますから、協力を得なきゃいかぬと思いますが、できるだけひとつ私どもがまとめて、そしてそれを各省に呼びかけて、一つ一つ理解を深めて実行させていく努力は、これは厚生省としてはしなきゃいかぬだろうと思うんです。
 
    実際に聴覚障害者の皆さんの希望を
    実態をお調べいただくとわかる

 

 ただ、先生ここでいま手話の問題が非常にずっと議論されてきましたが、私も実は聾唖者の学校の校長先生と仲がよくて、何回か行ったり、話も聞いたり実態を見たりしたことも、相当前ですけれどもございますが、手話に頼り過ぎて、本来何といいますか、もっと……

 

○下田京子君 口話

 

国務大臣小沢辰男君) そういう訓練をしていく努力がなくなっては、これはやっぱりいかぬという説もあるんです。

 

 したがって、そういう面はよほど私どもも考えていかなきゃいけない。

 

 あんまり手話に頼り過ぎますと、これは幾ら努力しましても、あらゆる日常の生活活動の分野に全部一人ずつ通訳を連れて歩くなどということはとうていできないんですから、そういたしますと、やはり手話に頼り過ぎてかえって福祉のためにならぬようなことになってもいかぬ。

 

 この辺は専門家でいらっしゃいますからよく御存じだろうと思うんですが、両々相まっていかなきゃいかぬだろうと思っておるわけでございます。

 

    一般的に

本当にわかりやすいものとしては手話
          相手との意思伝達ですから

 

○下田京子君 実はそのことも含めて、実際に聴覚障害者の皆さんの希望を、実態をお調べいただくとわかると思うんです。

 

 というのは、聾唖者の教育の現場においていろいろと議論もございますし、口話も必要、手話も必要、指文字の指話、それも必要と、いろいろあるわけですけれども、現在段階で一般的に本当にわかりやすいものとしては手話です、相手との意思伝達ですから。

 

 口話だけでいきますと、これで全部口の形で聞き取るということは大変なことになると。

 

 聞き取りそして話すということになるわけですから、それはもう当然のことでございます。

 

 その論議も含めて、総合的に、とにかく最初に申しましたように、聴覚障害者のそのかわるべきものとして手話通訳の問題を、制度化の問題を中心にしながらその改善をお願いしたところです。

 

 だから、もちろんそのほか、たとえばいろんな器具もございますよね、器具の改善なんかもほしいですし、いろんな角度からの検討が必要だということは申すまでもありませんので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。

 

  次に移りたいと思いますけれども、同じ身体障害者のことですが、雇用問題でお尋ねしたいと思います。 

                                               ( 以下略 )

 

 

遅くない時期に国で責任を持って常勤の 手話通訳者 を設置を 国会史上初めて 手話 による質問

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(国会議事録 資料と解説) 第084回国会 予算委員会第四分科会 第3号1978(昭和53)年3月31日(金曜日) 議事録より引用&解説 ろうあ者福祉、手話、手話通訳などなどのことが日本の地方議会で初めて取り上げられたのが福島。福島のろうあ協会や手話通訳者が国会議員と話し合い、いろいろなところに案内して国の福祉の改善に迫ったことはあまり知られていない。1978年予算委委員会の議事録を入手するのに苦労をしたが、今は容易に入手できる。この議事録の内容を解説と共にみなさんと共に考えて行きたい。佐瀬駿介

 

自治体でやられている
 常勤のこうした手話通訳員の制度と基準

 

○下田京子君 当面、財政的なことで人件費等を見て国が全体的に責任を負うかどうかということではどうもいま何とも言えないけれども、方向としては各自治体でやられている常勤のこうした手話通訳員の制度というものは言うまでもなく奨励していきたいというふうに受けてよろしいかと思うんですが、そういうことになれば、当然御承知かと思うんですけれども、手話通訳者を常勤で置くにはそれなりにどのぐらい手話ができるかとか、採用の基準というものが必要ですね。

 

 この採用の基準について、現在あるものは全日本聾唖連盟で出されております手話通訳認定規則というものしかないわけなんです。

 

 各自治体はこの認定規則に基づいて試験をし、一級、二級、三級ということでの資格を得た中で、特に一級、二級に該当した人たちを正職員、または先ほど申しましたけれども、常勤の嘱託という形で採用してきているわけなんです。こういったことについて御存じありますか。

 

   遅くない時期に国で責任を持って
        常勤の手話通訳者を設置

 

○政府委員(上村一君) 手話通訳者の認定基準というのを聾唖者連盟がつくっておられることにつきましては承知しておるわけでございますし、そういった資料も持っておるわけでございます。

 

○下田京子君 となりますと、当面政府として国家の認定基準というようなのはもう設けなければならないところに来ているんじゃないでしょうか。ということが一点ですね。

 

  それと同時に、望ましい方向としては常勤の嘱託なり職員というものを配置する方向で各自治体がやられることを奨励したいという意味の御答弁はいただいているわけなんですが、となれば、まあいますぐということは抜きにしても、将来そんなに遅くない時期に国で責任を持ってどの程度一体そういう常勤の手話通訳者を設置すべきかどうか、あるいはどんなところに必要なのかとか、また各都道府県がやられている、自治体がやられているそういうお仕事をもう調査していかなきゃならないんじゃないかというふりに思うわけなんですけれども、この点大臣に御答弁いただきたいんですけれども、お願いしたいことは三点なんですよね。

 

   まず調査を 

聴覚障害者本人がどんな要求を
      新たな計画を検討を

 

  一つは、いまのような状況をあるところは知っているけれども全体的には知らないということなので、まず調査をいただきたいということが一点でございます。

 

  それから第二点目には、その調査の際に、国がやっている四事業だけじゃなくて、各自治体が独自にやられているものやあるいはいろいろと聴覚障害者本人がどんな要求をお持ちで、どんなことをお願いしているかという、そういう中身をもう一回洗い直していただけないか。

 

  三つ目には、そうした調査内容に基づいてこの事業そのものも含めた見直し、新たな計画というものを、一番最初に申しましたけれども、福祉法制定来年三十周年というふうな時期でもございますので、どうかこの検討をいただけないか、これは大臣にお願いしたいわけです。

 

   各県の手話通訳者
  人数、能力を持っているか調査をする


国務大臣小沢辰男君) 私もいまお話聞いて、各県がどういうような手話通訳者を抱えておるのか、あるいはどの程度抱えておるのか、人数、またいなところがどれぐらいあるのか、それからその方々がどの程度のいままで何といいますか能力を持っている人なのか、人数等を含めて調査をする必要があると思いますね。

 

 これはやっぱり、国が調査をするといって調査費を計上して一般的な人口動態調査のようなわけではない、県と連絡すればよくわかることですから。

 

  聾唖者の方々が現在の制度の中で
 一番ニーズの多いもの

どういう点が不備を 見直す必要がある

 

  それからもう一つは、聾唖者の方々が現在の制度の中でどういう点が不備だと思うのか、むしろ一番ニーズの多いものはどういうことなんだと、これをつかまないで対策は出来ないわけですから、これはもう当然のことだと思います。
 
 それから、その結果、いまやっているいろいろ養成事業あるいは派遣事業等について見直す必要があるならこれは見直していかなきゃいかぬことは当然のことでございます。

 

  おっしゃるように、なるべく自立、自助の努力をお助けするというのが社会福祉の基本だと思いますものですから、この点は早急にわれわれの内部でも相談をしまして、どういう方法があるのかやっていきます。


  大臣答弁で「各県がどういうような手話通訳者を抱えておるのか、あるいはどの程度抱えておるのか、人数、またいなところがどれぐらいあるのか、それからその方々がどの程度のいままで何といいますか能力を持っている人なのか、人数等を含めて調査をする必要があると思います」「一番ニーズの多いものはどういうことなんだと、これをつかまないで対策は出来ない」などという手話通訳制度化についての国の答弁。

 ところが、「自立、自助の努力をお助けするというのが社会福祉の基本だと思いますものですから、この点は早急にわれわれの内部でも相談を」という
「内部」は、厚生省の官僚たちを意味する。
 一番のニーズを、という積極的方向が、「自立自助努力」を前提として官僚たちの厚生行政、福祉行政に計画されていたことをこの段階で見抜いておかなければならない。

 後に自立支援法やさまざまな援助システムが打ち出されていくが、この前提
になるのが自立自助=自分でコントロールして、 他人に依頼せず、自分の力で自分の向上・発展を遂げることであるとすることが社会福祉の基本として打ち出されていくことが国会の場で明らかにされたのである。

 障害者は、自分のことは自分でしなさい、という惨い政策が打ち出され、そのことを基礎にさまざまな事業メニューが打ち出されていく。

 近年、支援、援助という言葉が飛び交っているが、これはあくまで障害者たちが自分のことは自分ですることを前提にするための「過渡的措置」であって、援助しても「自分のことは自分でする」ことが出来ない人はうち捨てるという非情で冷酷な国の政策が前提にあるということを見抜いておかなければならないのである。

 その意味でも、国は長期にわたって福祉の切り捨て政策を実施してきたとも言える。そこで、それに対峙する障害者の要求と運動がありその狭間の中で国の政策が変容してきたことも観ておかなければならない重要な事項である。

 

地方自治体がもっとすぐれた形で 手話通訳 事業が進んでいるのに 国会史上初めて 手話 による質問

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(国会議事録 資料と解説)
 第084回国会 予算委員会第四分科会 第3号1978(昭和53)年3月31日(金曜日) 議事録より引用&解説 ろうあ者福祉、手話、手話通訳などなどのことが日本の地方議会で初めて取り上げられたのが福島。福島のろうあ協会や手話通訳者が国会議員と話し合い、いろいろなところに案内して国の福祉の改善に迫ったことはあまり知られていない。1978年予算委委員会の議事録を入手するのに苦労をしたが、今は容易に入手できる。この議事録の内容を解説と共にみなさんと共に考えて行きたい。佐瀬駿介

 

 1978年において国・厚生省の内部では「自立、自助が社会福祉の基本」として「手話奉仕」や 「身体障害者地域福祉活動促進事業のいろんな態様の体の不自由な人々について、自治体が自分の地域ではこういうのが一番妥当であると考えたものについて、メニュー方式」というものを打ち出してくる。

 

 ここには、憲法にある「第二十五条  すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。2  国は、すべての生活部面について、社会福祉社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」の国はすべての生活部面について、社会福祉社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に
努めなければならないを自助=自分で自分の身を助けること。他人に依頼せず、自分の力で自分の向上・発展を遂げる、という方向に大きく舵を取っていることが解る。

  「メニュー方式」なども建前はいいことをいいながら下田議員が指摘したように予算を増やさず、メニューはどんどん増やしていた。

 

 このメニューの限られた予算の中で自治体が実施使用としても最初から出来なくさせられていて「自治体と身体障害者の対立」や「障害者同士の対立」を引き起こさせ、国・厚生省としては「高みの見物」をするという問題だらけの内容であった。

 

 だが、その事業を受けてしまうと「国は、すべての生活部面について、社会福祉社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」という事業の責任追求や改善を迫れないという単純でありながらも虚像の複雑な事業形態がつくられていこうとしていたことが読み取れる。

 

 しかも厚生大臣と官僚の答弁の差違には、官僚主導の福祉、社会保障制度の改悪の意図が読み取れる。

 その基本的改正を下田議員は指摘し、あるべき方向を示す。

 

    公的機関等に出かけて用事を果たすような場合にお手伝いさせようということ

 

○政府委員(上村一君) いまお話しになりました中で、福島県の例は若干つかんでおるわけでございます。

 

 それ以外のものにつきましては、自治体自身が常勤の職員として、つまり地方公務員として置かれておる者につきまして何人おるかにつきましてはつまびらかでございません。

 

○下田京子君 そうしますと、地方自治体の公務員という形で、またそれに準ずるものだということでやられているから、それぞれの仕事の領域なのでつかんでないというお話かと思うのですけれども、となりますと、最初国で話された身体障害者地域福祉活動促進事業の中での、特に聴覚障害者のために設けられている四事業、この四事業を設置している目的というのは何でございましょう。

 

○政府委員(上村一君) 非常に端的に申し上げますと、先ほどからお話出ておりますように、聾唖者の社会生活で手話が非常に大切であるというふうな認識に立つわけでございます。

 

  そこで、四十五年から始めました手話奉仕員の養成というのは、そういった人々というのを自治体の方で養成をすると、そういった仕事を進めようと。

 

  それから、五十一年から始めました手話奉仕員の派遣事業というのは、そういった養成事業で手話法を習得した人を登録しておいて、聴覚に障害のある人、あるいは音声なり言語に障害がある人が公的機関等に出かけて用事を果たすような場合にお手伝いさせようということであるわけでございます。

 

   自治体が一番妥当であると考えた
     メニュー方式の補助金

 

  それから、最後に手話通訳の設置事業になるわけでございますけれども、手話通訳設置事業の場合は、これは四十八年度からでございますが、月に二回以上県なり市で来ていただいて、これはボランティアでございますが、そういった聴覚障害者が県なり市で援護を受けに来た場合にいろいろお手伝いをさせようと、こういった趣旨のものでございまして、身体障害者地域福祉活動促進事業というのは、こういった聾唖者だけでなくって、いろんな態様の体の不自由な人々について、それぞれの自治体が自分の地域ではこういうのが一番妥当であるというふうなことを考えたものについて、メニュー方式でやれるようなタイプの補助金であるわけでございます。

 

 そうして手話の奉仕員の養成事業と申しますのは、現在、これ五十一年度の数字でございますけれども、一つの県を除きまして、すべての県で実施しておるわけでございます。

 

  それから、手話奉仕員の派遣事業の方は全県というわけじゃございませんで、約半数くらいの県でやっておる。

 

 それぞれの自治体の地域の事情に応じた選択によってこの補助金を使ってもらっておる、こういう性格のものでございます。

 

  地方自治体が

もっとすぐれた形で事業として進んでいる

 

○下田京子君 どうしてできたかということはわかりましたが、そうやってつくったものが、設置したということが、同じ厚生省の系列で、地方自治体の方がいろいろもっとすぐれた形で事業として進んでいるわけですよね。

 

 すなわち、手話通訳者設置事業という厚生省の考え方ですと、週一回だとか、あるいは一回につき二時間だとかいうふうな形での援助というふうなお考えだけれども、それがさらに進んで常時嘱託という形でさっき話しましたようにやられているわけですね。

 

 しかも、国が言わんとしております奉仕員といいますか、ボランティア活動、それから同時に制度としての手話通訳者の方向ということも含めて、東京都なんかになりますと、これは全日本聾唖連盟で出されている資料でございますけれども、ここにはこういうふうに書いてあるわけですね。「例えば、東京都は昭和五十二年度に手話奉仕員養成事業に約三百六十万円の予算を計上して年間に約二百人のボランティアと五人前後の通訳者を誕生させています。」、こういうふうになっているわけです。

 

 こういう実態、御存じないんでしょうか。

 

   地方公務員として

手話の通訳員を置くかどうかは
     それぞれの自治体の判断

 

○政府委員(上村一君) そういう実態は承知いたしております。

 

 ただ、いまお話しになりました中で専任の、つまり地方公務員として手話の通訳員を置くかどうかというのは、それぞれの自治体が、こういった人たちが公的機関をどの程度利用するがという状況によって判断して置かれておるものであろうというふうに思うわけでございまして、厚生省としては、さっき申し上げました事業のほかに、むしろ福祉事務所とかあるいは身体障害者の更生相談所の職員、こういうところにいわゆる聾唖の方が行かれることが多いわけでございますから、むしろその職員を対象にしまして、つまり現におる職員というのが手話ができるように講習会など実施しておるわけでございます。

 

    政府がいろんな対応する機関に

手話通訳を設置できることが望ましい

そういう方向でいろいろと援助して

         いくことが望ましい

 

○下田京子君 端的に伺いますけれども、厚生省としまして東京都のような例は知っているけれども福島の例はちょっと聞き及んだ程度で、全国的には自治体の具体的な自主的な事業だから余り知らないというふうなお話ですが、どうでしょう、今後そういう形で自治体が常時正職員あるいは常勤嘱託という形でもって手話やれる方がそれぞれの医療機関であるだとか自治体の窓口であるだとか、そういう主な政府、いろんな対応する機関に設置できるというふうなことが望ましいし、そういう方向でいろいろと援助していこうという方針はお持ちなんだと思うんですけれども、その点どうですか。

 

○政府委員(上村一君) こういった公の施設あるいは公のサービスの機関で働く人に手話ができる人が置かれることが望ましいことは言うまでもないことであろうと思うわけでございます。

 

 したがいまして、こういった事業について補助をしておるわけでございますけれども、それが専任の地方公務員として置かれるようになった場合には、そういった自治体の公務員の給与まで果たして国が補助するのが妥当かどうか、その点は研究の余地がある問題ではなかろうかというふうに思うわけでございます。

 

何ら恥ずかしいことをやってもいない それなのに 国会史上初めて 手話 による質問

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(国会議事録 資料と解説)
 第084回国会 予算委員会第四分科会 第3号1978(昭和53)年3月31日(金曜日) 議事録より引用&解説
 ろうあ者福祉、手話、手話通訳などなどのことが日本の地方議会で初めて取り上げられたのが福島。福島のろうあ協会や手話通訳者が国会議員と話し合い、いろいろなところに案内して国の福祉の改善に迫ったことはあまり知られていない。1978年予算委委員会の議事録を入手するのに苦労をしたが、今は容易に入手できる。この議事録の内容を解説と共にみなさんと共に考えて行きたい。佐瀬駿介

 

  何ら恥ずかしいことをやってもいない
    学校に来ないでくれ

          と言われるのはとてもつらい

 

○下田京子君

 また、ある聞こえないお母さんが言われました。

 

   高校三年生の娘の卒業式をぜひ母親として見届けたい。

 

 しかし、小学校から高校まで、親戚が母親がわりで行っており、卒業式にもお母さん来てくれるなと言う。

 

 自分はりっぱに働いており、悪いことをしておらない。

 

 何ら恥ずかしいことをやってもいない。

 

 それなのに、子供にまで学校に来ないでくれと言われるのはとてもつらい。

 

 幸い、いま挙げたケースは手話通訳者や仲間の援助で解決しましたが、こういった例は幾らでもあります。
 
     お話しすることの

口のかわりをきっちりと
やっぱり保障していかなければならない

 

 まだまだ続くわけですけれども、私はこの聾唖者協会の方のお手紙、訴えを見まして、本当に耳が不自由である、お話ができないということだけで母親としての権利――子供も産めない、あるいは子供にまで学校に来ないでほしいと言われるようないまの社会的な情勢があるということですね。

 

 このことは何としても解決していかなきゃならないんじゃないか。

 

 聴覚障害者にとって必要な耳のかわり、そしてお話しすることの口のかわりをきっちりとやっぱり保障していかなければならないんじゃないか、こういうふうに思った次第ですが、大臣、この点については全く私と同様かと思うんですけれども、なお改めて大臣のお考えをお聞かせいただきます。

 

    手話通訳者 この制度が

どうしてもいま制度として必要じゃないか
       大臣もお認めになったんだと思う

 

国務大臣小沢辰男君) おっしゃるとおりだと思います。私も同感です。

 

○下田京子君 おっしゃるとおりだという一言でございましたけれども、これはとっても大事だと思うんですね。

 

 といいますのは、私は耳にかわるもの、またお話しする口にかわるものとして手話通訳者、この制度がどうしてもいま制度として必要じゃないかということを大臣もお認めになったんだと思うんです。

 

   〔主査退席、副主査着席〕

 

 このことをしっかり認められたらば、国のいままでやられている施策ですね、まあ手話通訳設置事業あるいは手話奉仕員養成事業、聾唖者日曜教室開催事業、手話奉仕員派遣事業、こういったものを身体障害者地域福祉活動促進事業と称して、他の事業とあわせて十二の中に特に聴覚障害者のために四事業を盛り込んで予算化していると思うんですけれども、この予算ですね、五十一年出発しまして、ずっと前からのもありますけれども、一体五十二年、五十三年度対比でどのぐらい変わるものでしょうか。

 

   大変伸びたようになりますけれども
道府県にしますと

五百万円だったのが七百万になっただけ

 

○政府委員(上村一君) 身体障害者の地域福祉活動促進事業の予算でございますが、五十二年度がトータルで一億四千十三万円、対前年に比べますと二八%の伸びであったわけでございますが、五十三年度は総額で一億九千六百万円、対前年に比べますと三九・九%、四割ぐらいの伸びにしたわけでございます。

 

○下田京子君 いまのは事業全体総額だと思うんですが、これは各県ごとに見ますと、対前年比で額でひとつ答えてください。

 

○政府委員(上村一君) 一県当たり国庫補助基本額と申しますのが五十二年度では五百万円でございます。五十三年度予算案では七百万円というふうにしておるわけでございます。

 

○下田京子君 四十七都道府県の中で、一道府県当たりにすると、最初の総体的な数字ですと大変伸びたようになりますけれども、一道府県にしますと五百万円だったのが七百万になった。

 

 私、これで対応できるかどうかということが大変疑問なんですね。

 

   一カ月の給料九万三千五百円

      あと何らないわけ

 

 国がそういう状況の中で、実際に各都道府県あるいは市町村自治体がどんな苦労をしながらどのような事業をしているか、私なりにつかんでいるのをまずお話し申し上げたいと思うんですが、北の北海道でございますと、北海道全体で聴力障害者といわれる人たちがおよそ一万六千人ほどいるんじゃないか、こう言われております。

 

 そういう中で、道として常勤の嘱託ということで手話通訳者を八名雇用しております。

 

 金額は一カ月の給料九万三千五百円ということで、あと何らないわけなんで、こういう実態でございますけれども、やっております。
 
   各自治体いろいろやられている
    厚生省としておつかみでしょうか

 

 それから、福島県の場合です。この福島県ですと、県としては五十二年から同じく常勤の嘱託として一カ月五万九千円のお給料で一名設置しております。

 

 常時設置しているわけですね。

 

 福島の各自治体で、四市の中で特にこれらの事業が進んでおります。

 

 若松というところでは正職員がおりまして、一カ月のお給料が十万五千四百円、ボーナスが五・二カ月分プラスになります。

 

 さらに常勤嘱託一名、来年から設置しようというふうになっております。

 

 福島市になりますと、これは来年二名、五十三年度二名にするということで、一カ月八万八千円、ボーナスが三カ月分。

 

 それから郡山市というところでは、これは四十九年からやっておりますが、五十三年にまた一名入れまして二名にして、一カ月七万六千円でボーナス四・七カ月分。

 

 いわき市というところが四十九年から二名置いております。

 一カ月八万一千四百円でボーナス四・二五カ月分ですね。

 

  こういうふうに、各自治体いろいろやられているんですけれども、まず、こうした事業が自治体でいまのように具体的にやられていること、厚生省としておつかみでしょうか。

 

母親としての権利もほとんど保障されていない実態。それらの問題を改善する一つとして手話通訳の保障を具体的に国会で取り上げられた。北海道や福島県の実態を基に手話通訳者が嘱託でありながら薄給過ぎることを指摘。その改善を手話通訳制度の確立なくしてはならないと国・厚生省に迫った画期的質問である。

 会津若松市などの手話通訳者の給料が出されているが、この給料では正規職員と異なって各種出費が多く事実上最低限の生活すらできない実態があった。

 

  一道府県にしますと五百万円だったのが七百万になったのは、身体障害者の地域福祉活動促進事業の予算であって、この中からそれぞれ対応されるため国の手話通訳保障等に対する予算は、ゼロもしくはマイナスだったのである。

 

 

なぜ私たちは子供を産んではいけないの 国会史上初めて 手話 による質問

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  (国会議事録 資料と解説) 第084回国会 予算委員会第四分科会 第3号1978(昭和53)年3月31日(金曜日) 議事録より引用&解説  佐瀬駿介

 

 ろうあ者福祉、手話、手話通訳などなどのことが日本の地方議会で初めて取り上げられたのが福島であること。

 

 福島のろうあ協会や手話通訳者が国会議員と話し合い、いろいろなところに案内して国の福祉の改善に迫ったことはあまり知られていない。

 

 この取り組みがなければ国の政策は無策なままで終わっていたかも知れない。1978年予算委委員会の議事録を入手するのに苦労をしたが、今は容易に入手できる。

 この議事録の内容を解説と共にみなさんと共に考えて行きたい。

 

    身体障害者福祉法

施行されまして来年はちょうど三十年目

 

○下田京子君 大臣にお尋ねいたしますが、御存じのように、身体障害者福祉法が施行されまして来年はちょうど三十年目に当たります。

 

 こういう中で、いままで営々といろいろな角度から福祉行政というものが論じられ、そしてまたそれなりの見直しもされてきている、こう思います。

 

 しかし、一方ではまだ依然として問題がたくさん残っております。

 

 特に難病患者等につきましては、筋ジス患者に見られますように、原因もはっきりしていない。ということになれば、その治療法も確かなものができない。こういう状況の中で、政府としてもこの辺で抜本的な福祉の見直しということが必要なときになっているんじゃないかというふうに思います。

 

 その見直しが特に必要だといいますのは、障害をお持ちの皆さんも、国や地方自治体の援助、そしてまた本人の努力があれば、非常にすばらしい、一般お方と変わらないようなそういう生活ができるようになってきていると思うわけです。
 
 もう大臣も御存じかと思うんですけれども、三月十八日の新聞報道にとってもうれしいニュースが出ておりました。

 

 これは東北の仙台なんですけれども、全盲の女子中学生が公立高等学校にみごとに合格した。いま青少年の非行問題だとか学力問題だとか論じられている中で、こうした障害を持つ中学生が公立高校に合格できたということ、とてもうれしいことだと思うんですね。

 

  こういう点から見ても、先ほど申しましたように、いま根本的な見直しということが図られなければならないだろうというふうな、その御認識だけまずお聞かせいただきたいと思います。

 

    聾唖者のこと

  この聴覚障害者の問題について

            特段お尋ねしたい

 

国務大臣小沢辰男君) 私は、おっしゃる方向は全く同感だと思うんです。

 

仙台の例だけじゃなくて、きのう私、車の中で聞きましたら、聾唖者の方で、いろいろ講義を録音テープを持っていって学校で録音しまして、それを帰ってお母さんが全部筆記しまして――目だけは確かなものですから、目で一生懸命に勉強して――あれ、たしか試験に受かってというニュースをきのうラジオでやっておりました。

 

  身体障害者の方々を、ただ特別の施設施設ということだけでなくて、一般的な方々と同じような、何といいますか教育なり生活なりができるような、できるだけ自立、自助の精神というものをわれわれがバックアップしまして進めていくようなことは本当に大事なことだと、かように考えます。

 

○下田京子君 いま大臣のお話にありました、本当に障害を持つ皆さん方が自立して生きていけるような、施設にだけお入りいただければいいというんじゃない、そこがとっても大事かと思うんですね。

 

 そしてまた、いまのお話にありました聾唖者のことなんですけれども、実は私、この聴覚障害者の問題について特段に、きょうは第一番目にお尋ねしたいと思っていたところなんです。

 

     お話しできそのる口にかわるものが必要
  それが十分に保障されてないということで

 

  私のところに、福島県の聾唖者協会の方からこんなお手紙が届いていますので、ちょっと続ませていただきます。

 

  全国の聾唖者の運動として、民法第十一条改正、手話通訳の制度化、道路交通法八十八条改正、聴力言語障害センターの設置、この四つが取り組まれております。

 

 このうち特に厚生省関係として、手話通訳の問題について、全国の聾唖者の現状と基本的な考え方をもとに政府の対策を訴えたいと思います。

 

  こういうふうな中でいろいろ述べられておりますけれども、実は聾唖者というもの、耳が聞こえません。

 

 お話しができません。

 

 となりますと、その耳にかわるもの、そしてお話しできそのる口にかわるものが必要かと思うんです。

 

 ところが、それが十分に保障されてないということでもって、実はどういう結果が起きているかということなんですけれども、続けてまたこう言っております。

 

  聾児が生まれてくるかもしれないから

                    人工流産を追られ


  福島県で聾唖者のお母さんから、次のような訴えが出されております。

 

 この方は聾唖者御夫婦ですけれども、妊娠八カ月の体のとき、双方の親の話し合いで、聾児が生まれてくるかもしれないからということで人工流産を追られました。

 

 同じような話は、こういったお母さん方と会ってみると、ずいぶん多くの例が出されております。

 

 耳の聞こえないお母さんたちが言います。

 

    どうして元気な赤ちゃんを産み
りっぱに育てることを許してもらえないの

 

 なぜ私たちは子供を産んではいけないのか。

 

 どうして元気な赤ちゃんを産み、りっぱに育てることを許してもらえないのか。

 

 なぜ万が一聾児が生まれてはいけないのかと。