手話 と 手話通訳

手話通訳の取り組みと研究からの伝承と教訓を提起。苦しい時代を生き抜いたろうあ者の人々から学んだことを忘れることなく。みなさんの投稿をぜひお寄せください。みなさんのご意見と投稿で『手話と手話通訳』がつくられてきています。過去と現在を考え、未来をともに語り合いましょう。 Let's talk together.

手話通訳 がボランティアだけですまされない府県市から助成金  第7回全国手話通訳者会議1974年

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手話を知らない人も

                手話を学んでいる人もともに
{再編集投稿・1969年頃}京都における手話と手話通訳の遺産と研究・提議 佐瀬駿介

 

  第7回全国手話通訳者会議 第4分科会「サークルの諸問題。学習」について

 

手話サークル
福島市から当時最高の助成金

 

2.  活動上の間題点を「はぐるま」 の資料を用いて討論

 

☆福岡手話の会
 陳情書を県と市に提出し、48年度は貰えなかったが、49年度は、活動デ一夕をまとめて提出し、連合会(各サークルが集まり結成)として60万円(福岡県)貰う。
 また、北九州市から10 万円、福岡市からは5万円の助成金を貰う。

 

☆千葉
 会員月一人百円だけの収入で、茶菓子代等で消費し、活動費がまったくないので、助成金を資う方法を教えてほしい。

 

☆京都みみずく会
 京都の場合は11年前に結成された。その頃はまだ助成金はなく、昭和42年度に京都市から10万円、京都府から3万円貰うようになった。

 通訳の保障をすることにより、ろうあ者の生活保障にもつながると思う。

 

☆札幌手輪の会
 去年からろう協会と一緒に活動している。
 昭和48年度は10万円、昭和49年度は15万円の助成金を市からうける。

 

☆沼津手話友の会
  昭和45年から47年度は、自費で運営。昭和48年度から会場だけ無料化(市の文化会館利用)また青年学級の費用としてl0万2千円、それとは別に派遺制度の一部費用として15 万円を貰う。

 

☆福島
  年間40万円(福島市から45年度より貰つている)助成金は、活動に応じて貰う。
 派遺費は一回千円としそのほかに、 全国大会等への参加はカンパや大会等の出版物を作成、販売したもので行う。

 

☆広島 あすなろ
  社会福祉協議会、 新聞社、 テレビ局等に後援を依頼して運営している。

 

☆広島もみじ会
  会員から会費はとらないで、 ロータリークラブその他から援助を貰つている。

 

 

 

手話サークルの実状や問題点を聞きたい知りたい  第7回全国手話通訳者会議1974年

 

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手話を知らない人も

     手話を学んでいる人もともに
{再編集投稿・1969年頃}京都における手話と手話通訳の遺産と研究・提議 佐瀬駿介

 

  第7回全国手話通訳者会議 第4分科会「サークルの諸問題。学習」について

 

 又ポランティアとしての手話サークルという性格上、当然ではあるが、各サークル員共、 非常に熱意があり、どこからも強制されることなく、自主性・主体性に富んでいることが共通した大きな特徴であった。

 

 しかし、所によっては計画性が欠如している所もみうけられたことが欠点といえる。

 

  この点を明確にさせておかないと、サークル全体の考え方が不安定となり、活動に影響を及ぼしてくることになる。

 

  自主性主体性をさらに育て発展させていく

 

 自主性主体性をさらに育て発展させていくためには、計画性をもった活動を一貫して追求していくことが重要であるが、この自主性をいかに発展させ、 全員をいかに育てていくかが今後の大きな課題といえよう。

 

  各地域の手話サークルの課題と悩み

 

第5分科会 手話サー クルのあり方

 

1、サークルの運営について

 

☆みつばの会
  手話の練習とろうあ者の交流が主。
  初・中級に分けて手話の練習や話し合いを行つたが、問題があるのでクラプ的な方法でやりたいと思う。
 各サークルの実状や問題点を聞きたい。

 

☆はぐるま
  講習(手話)が主。
 事務局が、学習部・編集部-レク部に分かれていて、会員はどれかに所属属するようになっている。

 学習部→手話学習方法の研究等。編集部)新間の発行等。レク部→懇談会-キャンプ・その他のレク、また、ろうあ協会と協力し手話劇サークル等も設立。

 

☆札幌手輪の会
  札幌で行う手話講習会(一年間継続  週一同実施)と手話サークルとのつながり。
 また、イデオロキー(政党支持)と手輪の会との間題もかかえている。

 

☆酒田手話サークル
  鶴岡手話サークルが、よい活動をしているので、酒田手話サークルも他のサークルと交流して、連帯を深めていきたいと思う。

 

☆盛岡( ともだち) 

 毎週火曜日に教会での話し合いまた、 日常的な生活の中での援助活動。

 

手話 が読み取りやすいろうあ者と考える底流  第7回全国手話通訳者会議1974年

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手話を知らない人も

   手話を学んでいる人もともに
{再編集投稿・1969年頃}京都における手話と手話通訳の遺産と研究・提議 佐瀬駿介

 

  以下の文章は、理解するのは困難だろう。

 なぜなら、率直な意見が出されていないからでもある。

 

 手話サークルはろうあ者とともにつくられていた地域が多かった。だが、ろうあ者が参加しなくなっていった主な原因が出されていないからである。

 

 読み書きできる、話せるろうあ者に手話サークルの人々が集まり、そうでない自分たちろうあ者は阻害されている、という話が各地で出されていた。

 

 手話が読み取れるろうあ者、手話が読み取れないろうあ者、という言い方が手話サークルで話されていたが、それは教育を受ける機会が保障されていなかったろうあ者を排除することに繋がるという事に気づく人々が少なかったからでもあろうか。

 

 この問題が払拭されないまま時は流れていく。

 

  第7回全国手話通訳者会議 第4分科会「サークルの諸問題。学習」について

 

  健聴者本位の考え方

 

第3のろうあ者の参加者減少傾向については、たとえ交流会にろうあ者が参加し、その中で健聴者が学んだ手話を実践してみるということは確かに大切な事ではあるが、反面健聴者本位の考え方でもある。

 

 ろうあ者と健聴者が接触する際には、原則として聴者がろうあ者に歩み寄る。

 

 かつろうあ者にとって役立つようなことが必要でいあり得る所が聴者の方が多い様な活動では、ろうあ者が離れてゆくのはある意味で当然といえる。

 

  ろうあ協会の行事等に

   健聴者が参加してゆく

 

 健聴者主催の会にろうあ者に集つてもらうのではなく、ろうあ協会の行事等に健聴者が参加してゆく方が望ましい。

 

 相互に役立つためには、1つとしてろうあ者、健聴者の役割分担により互いの特長を生かした情報を、交換できるような場を多く設けることによって相互の交流も長続きし、 又、 良い成果が生まれてくるのではないか、ということがあげられた。

 
 最後に、全体を通してまとめられることは、各地域の手話サーク ルがそれぞれの情報を交換し合つたことにより、多様なタイプが浮き彫りにされ、各サークル員が広い視野で活動を見つめ直し、よりよいサー クルにしていくための織とすることができるのではないだろうか。

 

 

TV放映 手話が各地で異なっているという地域差の問題等がのこる 第7回全国手話通訳者会議1974年

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手話を知らない人も

    手話を学んでいる人もともに
{再編集投稿・1969年頃}京都における手話と手話通訳の遺産と研究・提議 佐瀬駿介

 

第7回全国手話通訳者会議 第4分科会「サークルの諸問題。学習」について

 

 手話技術が

ろうあ者との連帯意識が育まれるか
 手話通訳した内容が

 正しくろうあ者に伝えられるかどうかが

 

第1の問題点については、  まず両者は決して矛盾するものでないことが話し合われた。つまり、 本当の意味で交流していくためには、手話通訳のできるほどの手話技術が必要であり、そのような中からしか連帯意識ははぐくまれてこないといえる。

 

 一方、 通訳養成にしても本当に問題になることは通訳した内容が正しくろうあ者に伝えられるかどうかということであり、 そのためには技術的にたけてゆくことが即通訳者への道ではなく、数多くのろうあ者との人間的接触の中で相互信頼を深め、又この中でろうあ者自身からろうあ問題を学び広い視野をもってゆくことが通訳者の条件となるであろう。

 

 このように両者は相互依存的な要素のある、ひとっのものの2つの側面であり. サークル運営においては、 どちらに重点をおいてゆくのかとぃうことで理解されてよいであろう。

 

TV等で全国放送
 手話が各地で異なっているという問題が

 

第2の通信教育の問題については、第1に手話を通信教育するには、いろいろ技術的に無理な面がある。

 

 たとえば、NHKを中心に行なわれた場合、余り多くの時間は不可能であるし. 番組の構成にしても、全日ろう連が何を望んでいるのかを調整していく必要もある。

 

  更に、 TV等で全国放送された場合、現段階では手話が各地で異なっているという地域差の問題等、 通信教育以前の問題が未解決のまま残されている状態である。

 

 このため、むしろ講習会に参加でさない人への課題として事務局へ要請していくということで確認された。

 

 

手話サークル は 手話通訳者養成か ろうあ者の出席が減り 協力も得られない 第7回全国手話通訳者会議1974年

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手話を知らない人も

                手話を学んでいる人もともに
{再編集投稿・1969年頃}京都における手話と手話通訳の遺産と研究・提議 佐瀬駿介

 

第7回全国手話通訳者会議 第4分科会「サークルの諸問題。学習」について

 

  1974年頃には、全国のほとんどの地域で手話サークルがつくられてきた。

 

 その要因は、手話奉仕員養成講座の影響が多いが、それぞれの地域では単に手話を学ぶ、手話奉仕だけに留まるのではなく地域のろうあ者の願いや要求に応じて独自発展するのがほとんどであった。


 この独自性を一変するのは民間放送TVではなく、NHKの放映であった。

 

 手話の映像が全国に広がったが、そこにはすでに明らかにしてきた「多くの規制」があったことを見逃してはならない。

 

 ろうあ者のねがった手話や手話通訳が現在でも生き続けているのか、を鋭く考えなければならないだろう。

 

 それをあいまいにしたままで手話が広がるのでは、ろうあ者のねがった手話や手話通訳が現在でも生き続けているとは言いきれない。

 

  厚生省で作られている基準でなく
   各地で独自な講師謝礼金

 

(8) 経費について   

 講習会の講師に対する謝礼金としては、厚生省で作られている基準とは関係なく、各地で独自な額が決められていた。

 

  又.これも含めてほとんどのサークルに対して市・県あるいは社協などから活動費として. サークルにより千差万別ではあるが補助金が出ていることがわかった。
 
ろうあ者による評価を行なっていた処と
  手話通訳者になるための厳しいテストの処

 

(9) 評価    
 これに関しては、

 

第1点としてサークル内において行なわれる評価(コース決定やあるいはコースを進めていく際などになされる)。

 

 第2点として都道府県など行政で行なう通訳者認定のための評価に大別される。

 

 前者の場合については、ほとんどの所がなんらかの形で評価を下していた。

 

 その主体は、ろう協の役員などを含むろうあ者、これにろう学校の先生、サークルの役員など経験年数の豊富な人などがが加えられていた。

 

 また、1サークルだけ特異なものとして、自己評価を評価の基準にしている所があった。

 

 このサークルの場合も、従来はろうあ者による評価を行なっていたが、内容によってろうあ者の評価が異なるなど客観的判断がきわめてむずかしいため、このような評価のあり方に疑間が出され、その後自己評価へきりかえたという経過をもっていた。

 

 後者については東京などに代表されるように手話通訳者養成講座としてシステム的にも確立され、いわゆる通訳者になるための厳しいテストが様々な形式をもって実施されている。

 

 評価の問題は手話の本質的あり方などとも関連して大切なことであるが、サークルの方向性などとからみ合わせて追求していかねばならない課題といえよう。

 

  手話サークルの目的は手話通訳者養成か
 ろうあ者の出席が減り
 充分な協力も得られないのはなぜか


 各地域における講習会、 各サークルの状況については以上の様であるが、 次に2~3の間題が提起された。

 

1,手話サークルの目的として、およそ通訳者養成をはっきり打ち出している所、又はろうあ者との親睦や交流を日的としている所との2つに分けられるが一それぞれの長・短所及び本来的な目的とはいったい何であるのか。

 

2. 手話講習会に参加できない人達のために手話の通信教育を、又その手段-方法としてテレビ等で放送することなどを要望としてまとめてもらいたい。

 

3. 講習会をやっていく際、しだいにろうあ者の出席が減り、充分な協力も得られないという傾向にある所が多く、引きとめ存続してもらうにはどのような方法・考え方をしていかなければならないか。

 

 

手話 時空を超越するコミュニケーション 手話の社会的理解がない時代のろうあ者の想いとともに  

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手話を知らない人も

                 手話を学んでいる人もともに
{再編集投稿・1969年頃}京都における手話と手話通訳の遺産と研究・提議 佐瀬駿介

 

 1960年代以前のろうあ者にとって切実なねがい

 

  手話の理解と広がりは、1960年代以前のろうあ者にとって切実なねがいであった。

 

 手話と口話を比較して論じる人々は、この両者の根本的違いを抜きに論じているように思える。

 

  口話と手話は異次元のコミュニケーション

 

 すべてではないが、

 

 口話は聞こえる人が話したことをろうあ者が「わかる」こととして発語が考えられてきた。

 

  手話は、ろうあ者同士で話したことがわかることで発達してきた。

 

 だから、聞こえる人がろうあ者の言っていることがわからない!!とされて

 

     手話はだめだとされてきた。

 

 こういったことは近年しばしば話し合われるが、極めて断定的に考えられているのではないか。

 

 手話については、もう一つの重要なことが忘れ去られているようにも思える。

 

手話は

 集団コミュニケーションを可能にした
 
手話が集団コミュニケーションを可能にするという事である。

 

 100人ほどの人々の前でいろいろな機材を使わなくて口話だけで話してもコミュニケーションはほとんど成立しないし、口話が読み取れないのは明らかだろう。

 

 だが手話の場合は、1000人でもコミュニケーションが成立する。数十メートル離れた所でも手話を読み取れるからである。

 

 この集団コミュニケーションの手段としての手話は、手話を否定する多くの人々が居る中で手話の社会的理解と認識を広げた。

 

 このことを再認識、再評価すべき時代を迎えている。

 

  集団コミュニケーション

    の手段としての手話の発達

 

 集団コミュニケーションの手段としての手話の発達は、それまでのろうあ者の想いと表現の知恵を前提にされなければならないが、そのように理解されて居るとは考えられない事がある。

 

 例えば、花の手話でも手話で表すとき、下方、膝の辺り、腰の辺り、胸の辺り、頭の辺り、頭より上の辺り、で花のイメージが捉えられることが出来る。

 

 手話は四次元の表現なのであることを忘れてはならないだろう。

 

  手話は、時空を超越するコミュニケーションなのである。

 

 

ろうあ者問題を学ぶのか 手話技術を学ぶのか 二分化 手話サークル 第7回全国手話通訳者会議1974年

 

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手話を知らない人も

       手話を学んでいる人もともに
{再編集投稿・1969年頃}京都における手話と手話通訳の遺産と研究・提議 佐瀬駿介

 

手話サークル
ろうあ者問題を学ぶのか

  手話技術を学ぶのかに二分化


  第7回全国手話通訳者会議 第4分科会「サークルの諸問題。学習」について

 

(5)講師    
  この場合,講師とは手話の技術を対象とするものとろうあ問題などに代表されるような、手話をとりまく基本的知識や理論的側面を対象とするものに大別されていた。

 

 前者については、

①特別講師を設けずに参加者全員での総合学習の方法をとるサークル、
②ろうあ者を講師とする場合、
③手話の経験をっんだ健聴者
④2と3が講師団を構成している場合 
⑤2の変則的なものとして.ろうあ者の集会室でろうあ者の集りと共にやっているため、 特別な配慮はしていないところなど、多様な形が出された。

 

  ううあ者間題に

深く関つてきている人を講師として学習

 

 後者の講師としては、他の地城より.ろうあ者間題に深く関つてきている人を招く形. あるいは県の福祉係や身障相談所など行政の専門的立場にある人を講師とする場合などがみられた。

 

 一貫性のある有効な、 かつ問題意識を深めている学習を進めていくためには、 講師の役割は重要と思われるが、 その必要を感じ、ろう協に派遣をお願いしているが交渉がつかないでいるという問題をかかえているサークルもみられた。

 

  手話サークル コース別学習が70%

 

 (6)  コース    
 これはただ数字を示すだけにとどめたい。

 

 参加サークルのうちコース分けをしているものしていないものとコース別を実施しているサークルが全体のほぼ70%を示している。

 

  その内訳は、3コースが11.  2コースが9、  さらに5コースというのも1サークルあった。

 

  1コースの規模としては10~30人が12、  30~50人が5、  10人以下、  50人以上がそれぞれ2サークルあった。

 

 現在のように少なくとも表面的には手話が広く人々の前に提示され、 どんどん新しい仲間がサークルに入つてくる状況の中で、 それぞれが手話技術を伸ばしていくためには、 コース分けは不可決の条件となってきているようである。

 

   手話のもつ社会的役割が

 急速に広められしだいに整備され

 手話サークルの運営が可能に

 

(7) 場所   
  県全体を対象に集中的に行なっている場合9、 市町村を単位としている8、市町村などの行政区域とは関係なくそれを越えて行なっていると、それぞれの県の状況やサークルの基盤などによって異なる答えを示していた。

 

  しかし. 具体的に日常の活動の場としている会場については、 参加全サークルが公共施設を利用(ほとんどが無料)していることがわかり、 手話のもつ社会的役割が急速に広められている中で、 少しずつではあるがしだいに整備された条件の中でのサークルの運営が可能になってきていることを示しているといえよう。