手話 と 手話通訳

手話通訳の取り組みと研究からの伝承と教訓を提起。苦しい時代を生き抜いたろうあ者の人々から学んだことを忘れることなく。みなさんの投稿をぜひお寄せください。みなさんのご意見と投稿で『手話と手話通訳』がつくられてきています。過去と現在を考え、未来をともに語り合いましょう。 Let's talk together.

「見るだけで楽しい、字は読めないけれど‥‥‥」のことばを手話通訳問題研究誌に反映させる

 

  communion of mind with mind
2000年~2001年元手話通訳問題研究編集長へのinterview一部公開  個人名はイニシャル表記、写真は著作者の豆塚猛さんの了解などなどいただいています。また、手話通訳問題研究誌から一部引用させていただいています。 

 0円から手話通訳問題研究を発行

 

質問
  1981年の手話通訳問題研究誌の編集後記に‥‥‥

 

「手話通訳問題研究」誌も今までの編集を大切にしながらも大巾に改善し、「大胆かつ深く、 広く」をモットーにての14号を編集し、発行することになった。
 従来あった論文中心の編集に対し、①講座②教育③地域④書籍紹介し、⑤連載講座⑤ふおーらむらん⑥支部だより⑦プロフプロフィールの7つの柱を構成

 

と書かれていますね。

 

元手話通訳問題研究編集長
 そうです。全国手話通訳問題研究会は研究団体として発足し、今日に至っています。

 

 当初は、手話通訳問題研究誌を発行するための財政はありませんでした。
 すなわち、0円から手話通訳問題研究を発行せざるを得なかったのです。

 

質問
 それなのにカラー表紙、上質紙による誌面づくりをされたのですか。
 それまでの手話通訳問題研究は、和文タイプ印刷などが多く、表紙は色紙が使われたりしていましたね。

 

元手話通訳問題研究編集長
 カラー表紙、上質紙による誌面づくりは、手話や手話通訳や手話通訳研究が社会の「片隅」で細々と発行されているということから、全国の書店でも並べられ購入出来ることを目指しました。

 

  手話や手話通訳がひかりの中へと存在する時代へ

 

 それよりも先に述べた「手話が激しい弾圧を受けていたこともあり、手話の出来る健聴者は、手話を学ぶこと、使うことすら大変勇気のいる時代」から「そうでない時代」

 

「手話や手話通訳がひかりの中へと存在する時代」

 

 を全国のみなさんと力を合わせて創りあげて行こうという決意から研究誌の大幅改善に取り組んだのです。

 

質問
 大きな反響があったでしょうね。

 

元手話通訳問題研究編集長
 ところがまったく逆でした。

 

 カラー化なんてぜいたくだ、紙もなぜ高価なものを使うのか、安価な研究誌に戻すべきだと全面的な批判を受けました。

 

質問

 そうですか。

 

自転車操業」ということばの自転車すらもない実態

 

元手話通訳問題研究編集長
 今なら、あなたはそう思われるかも。

 でも当時は、まったく受け入れられませんでした。

 そのため手話通訳問題研究誌の販売を各地で訴えて、購入していただいたお金を握りしめて印刷会社に支払いに行くということの繰り返しでした。

 「自転車操業」ということばがありますが、自転車すらもない実態でした。

 

質問
 それが今日まで続いてきたのは、なぜだと思われますか。

 

元手話通訳問題研究編集長
 それは、全国の全国手話通訳問題研究会とろうあ協会のひとびとの絶大なる協力のおかげです。

 そのことへの感謝は忘れたことはありません。

 

質問
 ろうあ協会のひとびとの絶大なる協力、ってどういうことですか。

 

  「このことを知らせてほしかった。」
 「自分たちの真実が書かれている。」
「見るだけで楽しい、字は読めないけれど‥‥‥」

 

元手話通訳問題研究編集長
 各地のろうあ協会の会員さんが

「このことを知らせてほしかった。」

「自分たちの真実が書かれている。」

「見るだけで楽しい、字は読めないけれど‥‥‥」

等々、いろんな処で励ましていただいた。

 そのことは大きな原動力になりました。

 

 手話通訳問題研究誌は、毎号、同じ形式ではないのはそういったかたがたの励ましをベースにつくりました。

 とくに「見るだけで楽しい、字は読めないけれど‥‥‥」のことばは、手話通訳問題研究誌の基本に据えました。

 

  魔の手をのばされつつあるなかで

   手話通訳問題研究誌の船出

 

質問
 はじめての手話通訳問題研究誌の編集後記には、

 

「是非、読者の皆さんのご意見、ご批判をお願いしたい。また、この「手話通訳問題研究」は全通研会員によって支えられていることからも全国2,000名の会員の「知恵と力」を寄せていただきたい。
 さて、と言うものの現実は厳しい実態である。あいつぐ物価高は、私たちの「手話通訳問題研究」にもしのびより、おおいかぶさってその魔の手をのばしつつある。

「もっと良いものを!」
「もっと盛りだくさんに!」

 

などのことはさえぎられつつある、と書かれているのは、話された本音なんですね。

 

元手話通訳問題研究編集長
 そうです。そうなんです。
 だから編集後記の末尾に

 

 最後に、全国各地で日夜わかたぬ生活の中で、ろうあ者と共に歩み、悩み、喜びの1歩1歩を進めておられる皆さんの声を是非「手話通訳問題研究」に反映したく思っています。

 

と書きました。

 それが出来てきたかどうか‥‥‥