手話 と 手話通訳

京都の手話通訳者の取り組みと研究の中からの伝承と教訓をみなさまに提起します。戦前戦後の苦しい時代を生き抜いたろうあ者の人々から学んだことを決して忘れることはなく。

すぐ帰れ 顔も見たくない 結婚はすでに断ったはずだ

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手話を知らない人も

           手話を学んでいる人もともに
{再編集投稿・1969年頃}京都における手話と手話通訳の遺産と研究・提議 佐瀬駿介

 

 Tさんが、ろうあ者のC子さんと結婚の約束をしていたが親が反対していた。

 

 そこで、Tさんとろうあ協会の役員が、この際C子さんの家族と直接会って率直な話をしようということになった。

 

 そのため手話通訳として行くことになった。

 

  すぐ帰れ   顔も見たくない

 

 寒い夜。古宿で凍えるような一夜を過ごして三人で、C子さんの家を訪れた。

 

 私たちを待ち受けていたのは、C子さんの母親、姉、親類。

 

 C子さんは、どこかに隠されていた。

 

 母親、姉、親類は、口をそろえて一斉に、

 

 「Tさんとの結婚はすでに断ったはずだ」

 

 「Tさんの顔も見たくない」

 

 「すぐ帰れ」

 

と大声で言うだけだった。

 

C子さんは 一生結婚させないのか?
 

 そこで、なぜ結婚に反対するのか、を強く問うた。

 

 するとC子さんの父親が死ぬときの遺言で「結婚させるな」と言ったからだと言う。

 

 それなら

 

「C子さんは、一生結婚させないのか?」

 

と聞くと

 

「そうではない」

 

と答える。

 

C子さんは放蕩三昧で家族も困っている

 

 さらに

 

「C子は、経済力が全くなく、何もできない。」

 

とC子さんは「無能力」であると決めつけ、それを強く、強く強調はじめた。

 

 そればかりか、C子さんは放蕩三昧で家族も困っている、とまで言い放った。


  文にすると、すらすら言われたかのように思われるか知れないが、母親、姉、親類が一方的にまくし立てる、語調も強い、表情には怒りだけで、私たちを人間として見てくれているとはとうてい思えないような状況で文字で表現出来ない程だった。