手話を知らない人も
手話を学んでいる人もともに
{再編集投稿・1969年頃}京都における手話と手話通訳の遺産と研究・提議 佐瀬駿介
「ろうあ」は遺伝する。
「先天性ろうあ」ならなおさらだ。
次第に聞こえなくなる場合も遺伝する。
知的障害などを併せ持つ人も遺伝する。
いや、障害者全体に対して「劣性遺伝」があるかのように戦後も続き、どれだけ多くの障害者が傷つき非人間的扱いを受けたか今では計り知れないだろう。
好きになり結婚したい
気持ちは消すことが出来ない
お互いが好きになり、結婚したいという気持ちは消すことが出来なかった。
結婚相手が、聞こえる人がいいのか、ろうあ者同士がいいのか、真剣に話し合われていた。
この現実に具体的解決を迫ったのは、結婚に反対する両親や親類や多くの人々や一部のろう学校の教師たちだった。
両性の合意のみに基いて成立、を盾に
日本国憲法
第二十四条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
2 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。
を学んだろうあ者たちは、自分たちの結婚が憲法で保障されていることを知り、
婚姻は、両性の合意のみに基いて成立、することを盾に結婚の実現のためにみんなが協力し、結婚に反対する両親や親類や多くの人々や一部のろう学校の教師たちを説得し続けた。
この取り組みの中心はろうあ協会であった。さらに手話通訳保障はその取り組みを加速させた。
やっと結婚出来て喜びに包まれていたが
ろうあ者の身近な人々の偏見、予断、罵詈雑言はほとんどだったが、海辺に打ち寄せる波のようにろうあ協会は、理解と説得を続けた。
そしてやっと結婚出来て喜びに包まれていた。が、1年、2年、3年、4年‥‥‥と経っても子どもが産まれない。
手話通訳を伴って産婦人科を訪れ、不妊治療がなされていることを知った時、すべての怒りは、結婚に反対する両親や親類や多くの人々や一部のろう学校の教師たちに向けられた。