手話を知らない人も
手話を学んでいる人もともに
{再編集投稿・1969年頃}京都における手話と手話通訳の遺産と研究・提議 佐瀬駿介
第7回全国手話通訳者会議 第3分科会
「手話技術の諸問題」
ろうあ者は集団の中に
入つていきたくても
入つていけない交通機関の減退
京都の場合, 私の町は人口4万人で面積の90%が山になつており, ろうあ者は現在45人おります。
その中で書いてお話できる人はほんのわずかです。
人口が減つてきている現在, 山間部にいるろうあ者は交通機関が減退しているため未教育のろうあ者は集団の中に入つていきたくても入つていけないというのが現状です。
8年前のバス定期券を使用
罰金が十万円要求され
私の経験からある未就学のろうあ者の女性がおりました。
その方が8年前のパス定期券を使用していた事が分り罰金が十万円要求されました。
というのは調査したところ, そのろうあ者は自分のものを見分けられ, 数字が書けるということから名前も数字も理解できるとなり, 罰金が課せられたわけです。
数字はわかっても
年月日と期限が解らない
しかし間題は, 1・2・3という数字がわかつていても'昭和48年3月31日まで、というパス定期に書かれていた意味を理解していたかどうかということです。
技術というよりも相手にどれだけ話を伝えることができるかということです。
そのろうあ者との話は, 手話というよりも身振りだけでやつたわけですが通じませんでした。
定期券に書かれてある
数字の意味がわからなかつたと証明
その後何度もそのろうあ者に会い家族の協力で古い定期を表示してどれを使つたらパスに乗れるかとやつたところ理解できなかつた。
そして本人は, 定期に書かれてある数字の意味がわからなかつたのだということが証明され, 罰金は解消できました。
京都での例は, 実際に未教育者にやつた身振りなどが実演され, 参加者の深い関心を呼んだ。
このように手話通訳の経験を通して, 手話技術についてお互いに研究しあつたことをこの分科会だけで修めておくのではなく, 多くの人に考えていただくためにもお互いに経験や技術問題を交換し合つたらどうかということで意見が統一された。
そして更に新しい間題として, ろう教育と手話技術・通訳者の立場ということについて話された。