「全国手話通訳問題研究会会報」
創刊号からの会報・考察寄稿②
手話通訳士などは手話通訳制度の目的ではなかったはず
「パンフ」(注 アイラブコミニケーションパンフ・いわゆるアイラブパンフ)の「はじめに」を読まないで、誤解しているむきが多い。「パンフ」をあたかも全日ろう連と全通研の意見を書いていると思っている人も多いが、それは誤りである。
パンフの特徴と内容について『アイラブコミニケーション』 パンフは、あくまでも、手話通訳制度検討委員会報告をわかりやすく説明するにとどめている。
しかし、大きく言って、
①ろうあ者問題聞こえないこと、それから生じるさまざまな問題
②手話の必要性と、手話通訳の必要性
③手話通訳士の問題など
三点を柱に文章が書かれており、だれがみても、ポイントをついた、わかりやすく、しかも、中身の深いものとなるよう工夫されている。
自分の甘さに気づかされました
手話は命といってもいいほどの意味を持つ
「耳の不自由な方たちとも話がしたいと思い手話を覚えたいと思っています。でも、このパンフレットを読んで、自分の甘さに気づかされました。 耳の不自由な方にとっては、手話は命といってもいい程の意味を持つのですね。」 (大阪 29歳・女性)
わたしは手話をならって
耳のきこえない人のつうやくなどして
耳のきこえない人のお手伝いをできるだけしたい
「4ページから12ページまでよむと、耳がきこえない人は、不便でかわいそうだと思いました。
それは命にかかわったり、いっしょにたのしんだりできないからです。
わたしは手話をならって、耳のきこえない人のつうやくなどして、耳のきこえない人のお手伝いをできるだけしたいと思います。」 (長野 12歳・小学校6年生)
などのハガキの意見は、 『アイラブ・コミニケーション』 パンフを十分読み、考えぬいた意見として考えられるが、同時に、パンフが、ろうあ者問題、手話、手話通訳問題など、国民の中に新しい認識をひろめていることを証明している。
1000通近いガキの意見のほとんどが、 共通して以上の点での考えが書かれているが、まさに、ここにパンフを広める目的がある。
日本国中で共通したねがい共通した思いで
ろうあ者問題・手話・手話通訳問題が多くの人々に広められてゆく国民大運動
日本国中で、共通したねがい、共通した思いで、ろうあ者問題、手話、 手話通訳問題が多くの人々に広められてゆく。
まさに、このパンフを広めることは、国民大運動なのである。
※ と全国手話通訳問題研究会会報7では述べられている。
政府が国会で手話通訳制度の検討をするとして、手話通訳制度の検討を開始したとされていたが、全国手話通訳問題研究会では、政府が国会で手話通訳制度の検討をするとして、手話通訳制度の検討を開始・報告を政府が「福祉予算がどしどし、けずられるなかで、はたして報告に書かれていることが実現するのだろうか?」とする危惧が多く出された。
最後まで政府が責任を持ち
手話通訳制度を実施するものだつたか
現に諸外国の手話などの検討等を検証してみても、最後まで政府が責任を持ち手話通訳制度を実施するものではなかったところに注視し続けるべきであったろう。
政府機関が手話通訳制度の検討をし、最終報告を出すではなく、手話通訳制度の検討を全日本ろうあ連盟に「委託」(ゆだねまかす)して手話通訳認定などの資格だけで事を済まそうとしているのではなかったのか。
資格試験を受け資格を取る
寄せられた人びとの「こころ」が
生き続けられているとは思いにくい
数十年後に「手話通訳士」等々も資格試験・資格付与などがつくられたのは、ろうあ者問題、手話、手話通訳問題が多くの人々に広められ国民大運動の結果であるとすることが各種資格制度を実施する機関等で平然と述べられている。
が、これは「ろうあ者問題に関係する人々の切実なねがいのわりには、実現の見透しは、暗く、灰色であった日々が長く続いてきた」ことや自らペンをとり意見を書き綴った人びとのろうあ者問題、手話、手話通訳問題をどこまでも尊重してるとは思えない。
あえて言うなら無視さえしているのではないかとも思える。
資格試験を受け資格を取ることを否定しているわけでないが。
国民大運動で寄せられた人びとの「こころ」が生き続けられているとは思いにくい。
私たちは、再度振り返り、国民大運動で寄せられた人びとの「こころ」が生き続けられているように舵を切る必要があると思う。