手話 と 手話通訳

手話通訳の取り組みと研究からの伝承と教訓を提起。苦しい時代を生き抜いたろうあ者の人々から学んだことを忘れることなく。みなさんの投稿をぜひお寄せください。みなさんのご意見と投稿で『手話と手話通訳』がつくられてきています。過去と現在を考え、未来をともに語り合いましょう。 Let's talk together.

手話通訳者 が除外された 手話通訳制度検討委員会 なぜ どうして 日本を揺るがしたILOVEパンフ運動を知って

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  ILOVEパンフ
代表者三名で検討され1ヶ月で作成された

 

3、ILOVEパンフの作成

 

 「手話通訳制度検討報告書」をめぐっては様々な評価が出されたが、報告書そのものの文章上の整合性上の不統一問題は、評価をさらに混乱させるものとなっていた。

 

 1985年6月1日全国ろうあ者大会岐阜集会で開かれた、全国手話通訳問題研究会と全日本ろうあ連盟の定期協議の場で、「手話通訳制度検討報告書」の「学習推進」が議題に上った。

 

 当初、全日本ろうあ連盟は、「報告書」の学習運動をどう進めるか、ということを中心的に考えており、その点で全国手話通訳問題研究会と共同学習を進めようというものであった。

 

 全国手話通訳問題研究会は、「報告書」の内容が多くの人々に知られていず、分かりにくいものであること、そのため分かりやすいパンフを作成し、手話通訳制度化の学習運動を進めるべきだ、と提案。

 

 それが全日本ろうあ連盟との間で合意に達したのである。

 

 合意の内容は、同年6月21日の定期協議で相互にパンフ担当者とパンフ作成案を提案し、台頭で平等な相互作業で作成するというものであった。

 

 その後、パンフ作成案は全国手話通訳問題研究会側からの提案のみ終始したため、それを原案として作業が進められ、全日本ろうあ連盟からは、二名、全国手話通訳問題研究会二名、一名は一度も参加せず、結果的に全国手話通訳問題研究会代表一名の三名で作業が進められた。

 

 ILOVEパンフは、第1回打ち合わせが行なわれ、以降1カ月以内という短い時期に精力的に作成された。

 

小学生6年生から読めるパンフ
    意訳や誇張をしない

 

 ILOVEパンフは、

 

① 手話通訳制度調査検討委員会報告書を分かりやすくしたものであるが、意訳や誇張をしない。

 

② 読み手の対象は、小学校6年生からお年寄りまで広範な人々とする。

 

③ 手話などの簡単な解説など手話普及の点も考える。

 

などの原則が確認された。

 

  原案を作成する責任
 全国手話通訳問題研究会代表

 

 ILOVEパンフの原案を作成する責任は、全国手話通訳問題研究会代表にゆだねられることになった。

 

 そのため、代表は手話制度調査検討委員会報告書(以下報告書)を小学校6年生に読ませた。

 報告書は、文章上の整合性が計られていないばかりか、漢字表記の点でも多くの不統一がみられ、小学校6年生には、その大半が学習したことのない漢字であったこと。

 

 そのことから報告書の文章のほとんどが理解できないものであったことなどが分かった。

 

 報告書のそのものの問題などもあって、報告書の主旨をふまえて分かりやすく、その本質がとらえられるようなパンフを短期間で作り上げることは至難の業であった。

 

  手話を知らない

 手話通訳の場面に接したことのない人々に

 

 さらに、手話を知らない、手話通訳の場面に接したことのない人々に手話や手話通訳や手話通訳制度のことをどのように理解してもらうのか、ということになると文章表現上の多くの工夫を必要とした。

 

 詳細な文章表現は、逆に理解を妨げる。

 

 簡略しすぎでは、報告書の内容をより正確に伝えることが出来ないなどの恐れがあった。

 

 以上の点を熟慮した結果、パンフの原案の原案となるものを手話や手話通訳、ましてや手話通訳制度などを全く考えたことのない人に「手話通訳制度検討報告書」をもとにその人の理解出来る要旨を文章として作成してもらうことになった。

 

 それに代表三名で、訂正、修正などを行なうというものであった。

 

 手話や手話通訳を知っている人であれば、思い込みの解釈をする。

 

 逆に知らない人は、知らないままで解釈する。そこを出発点として考えたのである。


  (少し学んだこと アイラブパンフの文から)

  はじめにの文を読んで、アイラブパンフが国や厚生省との関係で「意訳や誇張をしない。」としながらもさまざまな工夫を行ない真意を広げようという意図がみえました。

 

 ・厚生省は手話通訳制度の調査·検討事業をはじめることを決定したのに、なぜ厚生省は「事業は、財団法人全日本ろうあ連盟に委託」したのでしょうか。

 

 ・「ろうあ者、言語の専門家をはじめとする学識経験者、行政機関などがあつまって「手話通訳制度調査検討委員会」が発足」したのに、なぜ手話通訳者が検討委員会のメンバーとして選ばれていないのでしょうか。

 

 よくよく考えてみると、この文章の狭間に織り籠められていることが少しですが解るような気がしました。

 

 ーアイラブパンフに書かれていたことの紹介ー

 

  はじめに(漢字にはルビ)

昭和五十七年、厚生省は手話通訳制度の調査·検討事業をはじめることを決定しました。
 この事業は、財団法人全日本ろうあ連盟に委託され、ろうあ者、言語の専門家をはじめとする学識経験者、行政機関などがあつまって「手話通訳制度調査検討委員会」が発足しました。

 そして昭和六十年五月二十日委員会は「手話通訳制度調査検討報告書」(以下「報告」)をまとめ、厚生大臣に提出しました。

 「報告」は、付録資料をあわせ六六ページにおよぶもので、日本のろうあ者と手話の現状をときあかし、「手話通訳士制度(仮称)」のありかたについて提言しています

 このパンフレットは、「報告」の主旨を、より多くの国民のみなさんに理解していただこうと編集したもので、いわば「報告」のダイジェスト版です。添付のハガキを通じて、一人でも多くのかたから、ご意見、ご感想がよせられ、手話通訳制度がより豊かな形で実現することを願ってやみません。