全国手話通訳問題研究会運営委員会報告(1994年2月24日)「ILOVEパンフ運動その成果と教訓のための序説」を読んで
1994年2月24日付で全国手話通訳問題研究会運営委員会に報告された「ILOVEパンフ運動その成果と教訓のための序説」と「ILOVEパンフ」を熟読していると今まで教えられたり、聞いてきたこと、ネット上で配信されていることと事実が大きくかけ離れているように思えてなりません。
大胆 手話通訳制度の可否を日本に住む人々に問う
可否の結果を受け入れる
2,120万人から140万人の人々に読まれたアイラブパンフ
その数は語られても、膨大な都道府県・年齢別にすべて集約された意見はわすれられていないでしょうか。
パブリックコメントと日本で言われるよりも先んじて、民間の当事者が公的機関に先んじて日本に住む人々の意見を集約し、手話通訳制度(公的認定の手話通訳という事だけでなく)の可否を日本に住む人々に問い(日本国民と限定せず)それを率直に受けとめようとしたことは手話通訳の歴史上のことだけではなく、日本の公的保障そのものの問う大運動でもあったとと言えます。
手話通訳の制度を検討すると政府
その思惑と方向
政府は、手話通訳の制度を検討すると言いながら、国の役人を検討委員会の中心に添え国が描く(手話通訳の制度⇒認定に留める。ー国より先んじて制度化した京都市認定手話通訳の一部を都合の良い部分だけは採り入れるー)方向で決着しようとしていたのでしょう。
政府がなすべき事を
公正に問いかけたアイラブパンフ
政府は、手話通訳制度化検討委員会の最終報告が出され多段階で「国民」に手話通訳制度化を問い、国の制度にすべきだったのです。
だが、そのようにしませんでした。
それだからこそ、政府がなすべき事を公正に問いかけたのがアイラブパンフだったのではないでしょう。
政府の危機感
手話通訳制度化の圧倒的支持を得たという事実の歪曲
政府としては、その思惑が、実行できなくなるという「危機感」があったはずです。
アイラブパンフの普及は、日本に住む人々の受け入れ状況を示すものであっただけに120万から140万という数字は重要な意味を持っていました。
でも、数に留まって民間の当事者が公的機関に先んじて日本に住む人々の意見を集約し、手話通訳制度(公的認定の手話通訳という事だけでなく)の可否を日本に住む人々に問いかけ、手話通訳制度化の圧倒的支持を得たという事実が軽んじられているのではないでしょうか。
日本に住む人々が、手話通訳制度化の圧倒的支持をした。
このことはその後の手話通訳制度化を決定づけるものでした。
でも、国は、日本に住む人々が、手話通訳制度化の圧倒的支持をした全容を受け入れはしませんでした。
当初から政府は手話通訳士に限定しました。
今日の手話や手話通訳、手話通訳士の問題を考える基礎がこの変化の中に観ることが出来るのではないでしょうか。