全国手話通訳問題研究会運営委員会報告(1994年2月24日)「ILOVEパンフ運動その成果と教訓のための序説」を読んで
全国手話通訳問題研究会運営委員会報告ILOVEパンフ運動その成果と教訓のための序説は、
日本の歴史に手話、手話通訳への
基本的認識の変革と基本的理解を広めるという大運動
最後にILOVEパンフ運動をもう一度振り返り、この運動をもう一度みんなと教訓化するため私なりの教訓を提起しておきたいと思う。
第一は、すでに何度も述べたが、ILOVEパンフ運動は、戦前戦後を通じて、ろうあ者の存在や手話を使うコミュニケーション方法を無視されてきた日本の歴史上に、手話、手話通訳への基本的認識の変革と基本的理解を広めるという大運動であった。
手話通訳制度 国民に働きかける連帯の大運動
第二は、全日ろうあ連盟(聴覚障害者)と全国手話通訳問題研究会(健聴者)が一体となって国民に働きかける連帯の大運動であった。
手話通訳制度の賛否を問い
手話通訳の制度化を図ってゆくとともに
成果を還元する三重構造だったアイラブパンフ運動
第三は、第一と関わって、ILOVEパンフ運動は、手話や手話通訳の制度化の問題を国民に訴えるだけではなく、それへの国民の賛否、意見を受けとめ、そのうえで地方自治体、国に国民の意見を明らかにし、手話通訳の制度化を図ってゆくという二層構造の運動であった。
さらにこの運動により、真に国民の手話通訳制度化への要求を把握するとともに、国民の要求を再び国民に返し、その認識の「定着」をはかるという三層構造の運動をも追求した。
日本のすべての地域で
主権者として生きてゆく上にも手話通訳は
不可欠なものであることが実践的に証明
第四は、以上の取り組みにより国民の潜在的な手話通訳制度化要求で、手話通訳の要求は、ろうあ者のみの固有の要求だけではなく、国民が主権者として生きてゆく上にも手話通訳は不可欠なものであることが実践的に証明された。
従来手話通訳要求は、ろうあ者側から出されて、それを受けて考える傾向や逆説的に健聴者側から考えて手話通訳要求が考えられる傾向が強かった。
ILOVEパンフ運動は、これらの傾向を打ち破り国民全体の中で手話通訳の必要性を位置づけてゆく条件が切り開かれた。
聞こえる、聞こえないというレベルの思考から、聞こえる、聞こえない人々を合流したレベルへの転換を示唆するものであった。
これらは、ILOVEパンフに寄せられた国民の意見集にすべて内包されている。
以 上