手話 と 手話通訳

手話通訳の取り組みと研究からの伝承と教訓を提起。苦しい時代を生き抜いたろうあ者の人々から学んだことを忘れることなく。みなさんの投稿をぜひお寄せください。みなさんのご意見と投稿で『手話と手話通訳』がつくられてきています。過去と現在を考え、未来をともに語り合いましょう。 Let's talk together.

手話を覚えはじめた最初の一歩の表出

       communion of mind with mind

 

 突然、遠慮がちに前の席に座る人が手をあげて、と書いた方を以降、山本正さん(仮名)と書かせていただく。

 

  山本正さんが、手を少し動かしたので「飛び交っていた手話が止まって、みんながその人の手を注視した」という書き方は正確ではなかった。

 

 あとで詳しく聞いてみるとみんなが「手話を止めたのは」山本正さんの手の動きを見るのではなく、山本正さんが笑顔で頷いた姿をまるごと見た、と言うことだった。

 

 手も動いていたのだが、手話ではなかったようにも思えるが、自分たちが手話を覚えはじめた最初の一歩のように思えてならなかったとも言われた。

 

 「手話を覚えはじめた最初の一歩」。

 

 みんなは、同じようなことを言った。

 

 山本正さんが笑顔で頷いた姿と手話を覚えはじめる第一歩。

 

 このことの意味を軽く考えて、流していたが、後々よく考えると、自分もその時があったとも思われた。

 

 手話は、手指の動きだけで思い込むのだが、山本正さんの「山本正さんが笑顔で頷いた姿と手の動き」に手話で話す第一歩を見ていたろうあ協会の人びとの思いの背景を充分考えきれていなかった自分を反省している。

 

 その後ずいぶん経って手話学習会で、「笑顔で頷いた姿と手の動き」の話をしたが、それが「手話を覚えはじめる第一歩」とは誰も思わないという返事だった。

 

    truth    「手話を覚えはじめる第一歩」。喜びを表出する姿に自分の意思表現があり、それが相手に伝わり気持ちが融合する。

 

 その表出方法は、さまざまだが、人間同士の気持ちを交流しようとする意図が交差する時に「喜び」の真意が伝わりはじめる。