村上中正氏の聴覚障害者教育試論 1971年を思惟
村上中正氏の1971年試論の探求は、「九歳の壁」研究に鋭く論破している。
「九歳の壁」にぶつかったとしても年齢は10歳、12歳と
「壁」と言い「壁」で区切って
「九歳の壁」研究を語る人びとの多くは、聴覚障害の教育では重要な提起とする。そして、「九歳の壁」に至る経緯と九歳周辺を調べるが、なぜか九歳以降のことは調べない。
子どもたちは、九歳の壁で留まり、それ以降年齢を重ねることはないとするのだろうか。
たとえ、「九歳の壁」にぶつかったとしても年齢は、10歳、12歳となる。
この年齢の連なり意味は無いと考えるのか。「壁」と言い、「壁」で区切ってしまっている。
「九歳の壁」に引っかかったり留まる子どもたち
「九歳の壁」を乗りこえた子どもたち
このように考えると「壁」は、自然発生的に生じたものでないことが明らかであろう。
さらに、「九歳の壁」に引っかかったり、留まる子どもたちは、九歳のままの状況で人生を過ごしているとするのだろうか。
「九歳の壁」を乗りこえた子どもたちは、その後の人生を「よりよく」過ごせたというのだろうか。
そのように考えると、「九歳の壁」論者は、九歳で聴覚障害の子どもたちは分化し、脱落と昇降に区分され、評価されることになる。
すなわち、聴覚障害児は、九歳で「エリートの道」に進むことが出来るようになるのか、そうでないのか、という分岐点であるとも主張しているのに等しい。